安全確認を徹底しよう
■交通事故の原因で最も多いのは「安全不確認」
交通事故の原因を法令違反別の発生状況でみると最も多いのは「安全不確認」で、全体の3割を超えています。
これに「脇見運転」「漫然運転」「動静不注視」を含めると、事故の3件に2件は運転者のうっかりミスであることがわかります。
交差点や見通しの悪い場所での一時停止・徐行と確認はもちろん、発進時や後退時の死角への確認、進路変更時の目視による確認など、基本的な確認動作を忠実に守ることが事故防止につながります。
■無意識による「動作の優先」が危険です
安全確認のミスが起こりやすいのは、慣れた運転操作をする際に、確認よりも動作が優先してしまう場合です。
前の車が急に減速したときなど、追い越そうという気持ちがはやり、安全確認をする前に、つい無意識にハンドルを先に切ってしまうようなことはありませんか?
動作が優先してしまうと、確認しようとしたときには、もう他車などと接触しているということがよくあります。
こうした動作優先の運転習慣を防ぐために、常に「まず確認!先に確認!」と自分に言い聞かせてください。
また、確認より動作を先にしてしまったときには、たとえ危険がなかったとしても、「今のは確認が後になった!」と反省して忘れないようにしましょう。
朝礼・点呼時の確認と指導に努めよう
■免許証の確認を忘れずに
管理者にとって重要な安全確認とは、運転者に対する朝礼や点呼時のチェックです。健康状態の観察やアルコール残り、睡眠不足などがないか把握し、安全運転への動機づけをする大切な機会です。毎日実践していますか?
毎朝、免許証の携帯と有効期限を確認することも重要です。
最近、埼玉県の教育委員会職員が無免許運転で事故を起こしましたが、過去に100回以上に渡って公用車の無免許運転をしていたことが判明しました。
管理者が運転時に免許証の確認をしていなかったので、見逃されてしまったのです。
朝礼や点呼の際、忘れずに重要ポイントをチェックできるよう、右図のようなシートを用意しておくと便利です。
■経路の確認をして具体的に指導
なお、朝礼や点呼時に行う指導としては、全員に「交差点では気をつけよう」といった漠然とした安全指導をするのではなく、運転者個々の事情に即したアドバイスをしましょう。
そのためには、毎朝、運転者の走行経路を確認することが重要です。
管理者が「今日の経路は?」と尋ねてスラスラ返答できないような運転者に対しては、まず経路をきちんと再確認して、迷うことがないように指導します。
経路が判明したら、それぞれ運転者ごとに具体的な危険予測ポイントや経路上の問題点などを指摘しましょう。
たとえば雨の日に、滑りやすい峠越えの道や堤防道路などを走行する予定の運転者がいる場合は、経路を変更し遠回りであっても安全な幹線道路を選択するように指示します。
経路を変更するのが難しい場合は、どのような安全運転をすべきか質問しましょう。
滑りやすい坂道ではエンジンブレーキを活用し、低いギアで速度を落として走行する、といったポイントを確認して運転者の意識を喚起してください。
風邪予防の対策をとろう
■十分な睡眠で抵抗力を高める
そろそろ風邪がはやる季節となってきました。風邪をひきやすい人は、生活習慣に理由があると言われています。
その一つは、睡眠の不足です。
2009年に発表されたアメリカのカーネギーメロン大学の研究では、「睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上睡眠をとる人に比べて3倍以上風邪をひきやすい」ことが判明したということです。
良質な睡眠によって体内の成長ホルモンなどの分泌が促進され、抵抗力が高まるだけでなく、鼻腔の炎症や少々の喉の腫れなども治りが早く、本格的な風邪にかかる危険が低下するということです。
また、熟睡することによるストレスの解消も免疫力の強化に役立つと考えられています。
このほか、帰宅後の手洗い、うがいなどの習慣が、風邪予防には効果的です。
■インフルエンザの予防接種を
一般の風邪とちがって、インフルエンザ予防にはワクチン接種が効果的です。
インフルエンザウイルスは変異が頻繁であるため、ワクチン接種をしてもインフルエンザに罹るリスクはゼロではありません。ワクチン代は健康保険がきかず、インフルエンザ治療費代も金額に大差は無いため「自分は体力にも自信があるし予防接種は意味がない」と考える人がいますが、これは問題があります。
ワクチン接種で罹りにくくなった人が1人でも増えることによって、大流行のリスクはそれだけ低下します。このため、とくに幼児・高齢者や体質的にワクチン接種ができない人たちの死亡リスクが減るのです。
また、ワクチン接種をした人は発症しても重症化を防げると言われています。
できるだけたくさんの人が予防接種を受けることが社会的リスクを低減するということを意識しましょう。
今年は9月に学級閉鎖をした学校もあり、インフルエンザの流行が早いと言われています。
ワクチン接種はすでに10月から予約を受け付ける医療機関が出ています。例年は、12月中頃までに接種を受ければよいと言われていますが、今年は少し早めに受ける方がよいかもしれません。
(※この記事は、厚生労働省の「インフルエンザQ&A」WEBサイトを参照しました)
■冬用装備、チェーンなどを点検しよう
冬場に向けてチェーン搭載やスタッドレスタイヤへの履替え、雪道用のグッズ搭載などに目を配ってください。
出発地では雪の心配がない場合でも、運転者が寒い地域に出張することはありますので管理・指導が必要です。
寒冷地に出張する運転者には、レンタカー予約時にスタッドレスタイヤが装着してあるかをチェックさせ、冬用の靴などを持っていくこともアドバイスしましょう。
雪国では普通の靴は車から降りてすぐ転倒する恐れがあります。また、雪道を歩いて、足が雪で濡れただけで気持ちがふさいで、運転の集中力が落ちる危険もあります。
北海道など11月に降雪する地域では、初旬からスリップ事故や路外への逸脱事故がよく発生していますので、注意させましょう。
【こんな事故が起こっています】
●軽乗用車がスリップして正面衝突
2016年11月11日、北海道旭川市内を走行していた軽乗用車が、圧雪路でスリップし対向車線を順走してきた大型トラックと正面衝突、軽乗用車を運転していた38歳の男性が死亡しました。
●乗用車とトラックがスリップして衝突
2016年11月3日、北海道北見市内の道道を走行していた乗用車とトラックが正面衝突し、乗用車の運転者が死亡しました。
現場にはシャーベット状に凍結した雪が積もり、路面は非常に滑りやすい状態となっていました。
【トラック運送事業の運行管理者向け】
■「墜落・転落」災害防止に取り組もう
厚生労働省は、平成29年の労働災害による死亡者数(1月~8月の速報値)が対前年比で10
%近く増加し、特に8月に急増したことを受けて、9月末に労働災害防止団体やトラック協会など関係団体に対し、職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請を行いました。
トラック運送事業関係では、1~8月の死者数が30.2%増加し、なかでも荷役作業時における「墜落・転落」災害が多いことから、「荷役5大災害防止対策チェックリスト」を活用した安全対策を実施するなど、災害防止に向けた取組みを強化するよう要請を受けています。
トラック運転者・荷役作業者の死亡災害例では、2m未満の荷台からの転落が多く、保護帽(ヘルメット)の正しい着用で助かる例が多いと言われています。
※「荷役5大災害防止対策チェックリスト」については、労働安全衛生総合研究所のWEBサイトを
参照してください。チェックリストと事故事例を掲載した冊子「陸上貨物運送事業における重大
な労働災害を防ぐためには」のPDFがダウンロードできます(A4サイズ・12ページ)。
【バス事業の運行管理者向け】
■貸切バスの運行管理者選任数は確保
できていますか?
旅客自動車運送事業運輸規則の改正により、平成29年12月から貸切バスでは営業所ごとの運行管理者選任数が変更になります。
車両数にかかわらず運行管理者は最低2名以上の選任が必要となります。
さらに、現行では30両ごとに1名とされている営業所の運行管理者の必要選任数は20両ごとに1名に引き上げられます。
(100両以上分に関しては30両ごとに1名)
営業所の管理者選任数が増える状況の事業者では、11月中に確実に選任を済ませてください。
■ドライブレコーダーの導入を検討しましょう
平成29年12月1日より、貸切バス事業者が行う運転者への指導・監督の内容に「ドライブレコーダーの映像記録を活用した指導」が追加されます。
今年から適用される対象は新車のバスで、既存のバス車両については経過措置があり、2019年11月30日まで適用が猶予されていますが、すでに全車両に導入を済ませたバス事業者もありますし、事故分析の際は非常に役立ちます。
安全性評価認定に影響しますので、この機会に既存の貸切バス車両にも導入したほうが得策です。
「ドライブレコーダーの記録を利用した指導」としては、
●一般の運転者に対する指導・監督
→ 運転特性に応じた個別指導
→ ヒヤリ・ハット体験などの自社内での共有(集団指導)
●事故惹起運転者、初任運転者に対する特別な指導・監督 → 運転実技の時に記録し活用
などとなっています。
【参考】
バス事業者がドライブレコーダーの導入を行う場合は国土交通省の助成金(事故防止対策支援推進事業)が申請できます(最寄りの各地方運輸支局等に相談)。
29年度の助成事業第2次募集期間は~11月30日まで。ただし、申請総額が予算額に達した場合には、申請受付期間中であっても受付が終了します。
日 付 | 行 事 等 |
1日(水)~ 30日(木) |
・過重労働解消キャンペーン(過労死等防止啓発月間)──厚生労働省が主唱し、著しい過重労働や賃金不払残業の撲滅に向けた監督指導や電話相談などを実施します。 ★著しい過重労働、長時間残業はないか? ★36協定の違反はないか? ★悪質な賃金不払残業はないか? |
1日(水)~ 30日(木) |
・エコドライブ推進月間──警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省で構成するエコドライブ普及連絡会は、11月をエコドライブの推進月間として積極的な広報を行いエコドライブ研修会などを通じて普及・推進を図ります。詳しくは、環境省のWEBサイトを参照してください。 |
1日(水)~ 30日(木) |
・フォークリフト等の特定自主検査強調月間──フォークリフトなど荷役運搬機械や建設機械は資格を持つ検査者による年1回特定自主検査が必要、その啓蒙月間です(詳しくは、建設荷役車両安全技術協会のWEBサイトを参照してください)。 |
1日(水)~ 14日(火) |
・「危険物の荷卸し時における相互立会いの推進」全国キャンペーン──石油連盟、全日本トラック協会 タンクトラック・高圧ガス部会などの共催。石油や高圧ガス等の荷卸し時に荷卸・荷受双方の危険物取扱者立会いを行い、事故防止を徹底することを求めています。詳しくはこちらを参照。 |
2日(水) |
・18回 自動車安全シンポジウム
会場:東京ビッグサイト(主催:国土交通省) テーマ:高齢運転者による交通事故防止対策について 入場無料/事前申込み制(10/25締切) 申込みは→ 専用URLへ |
3日(金) |
・文化の日 ──旧「明治節」、戦前から明治天皇の誕生日であることで祝日となっていました。 |
6日(月) |
・第53回 全国陸上貨物運送事業労働災害防止大会 会場:りゅーとぴあ(新潟県新潟市中央区一番堀通町3-2) 主催:陸上貨物運送事業労働災害防止協会 詳しくは、同協会のWEBサイトを参照してください。 |
7日(火) | ・立冬──24節気の一つ。暦の上での冬の始まり。日の光が弱くなり、朝夕など冷え込む日が増えてきます。 |
9日(木) |
・119番の日──消防庁が電話番号「119」に因んで1987(昭和62)年に制定しました。 |
9日(木)~ 15日(水) |
・秋季全国火災予防運動──火災が発生しやすい時季を迎え、119番の日から1週間、全国の消防本部等が火災予防を訴えます。 |
10日(金) |
・いい点灯の日──「おもいやりライト事務局」が企画する一斉点灯の実施日。11.10(イイ テン トウ)の語呂合わせから。「見るためだけではなく、見られるための光を」を合言葉に点灯を呼びかけます。 |
10日(金)~ 12月1日 |
・平成29年度(第2回)運行管理者試験 書面申請期間 ただし、おまかせ申請は12月7日(木)まで。 インターネットによる申請は12月12日(火)まで。詳しくは、 運行管理者試験センターのWEBサイトを参照してください。 【試験日】平成30年3月4日(日) |
13日(月) |
・自動車安全運転シンポジウム 2017 会場:一橋講堂(東京都千代田区 学術総合センター内) 主催:自動車安全運転センター テーマ:高齢運転者と共にある安全な交通社会 朴 啓彰(高知工科大学客員教授/医師) ほか 入場無料/事前申込み制(10/31締切) 申込みは → 専用URLへ |
14日(火) |
・11月の製品安全点検日 ──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
14日(火) |
・世界糖尿病デー──国連が2006年採択しました。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、男性の19.5%・女性の9.2%の人は糖尿病が強く疑われるとされています(平成27年度)。血糖値管理を徹底して低血糖症状などによる意識喪失事故を防ぎましょう。 |
15日(水) |
・七五三 |
15日(水) |
・運輸安全マネジメントセミナー開催(北陸信越運輸局) 時間 9:30~16:30 場所 富山県トラック会館研修室(富山市婦中町島本郷1-5) 定員 運輸事業の安全担当者を対象に100名。 詳しくは、同運輸局のWEBサイトを参照してください。 |
16日(水)~ 1月10日 |
・第57回「正しい運転・明るい輸送運動」
全日本トラック協会主催──詳しくは、全ト協のWEBサイトを参照してください 。 |
19日(日) |
・食育の日──家族そろって楽しく食卓を囲むなど、皆さんも、食育の日をきっかけに自分や家族の食生活を見直しましょう。 |
19日(日) |
・ 世界道路交通犠牲者追悼の日(毎年11月第3日曜日) 詳しくは「道路交通犠牲者の日」世界事務局の WEBサイトか、 英国のロードピースのWEBサイト(英文)を参照してください。 ※The World Day of Remembrance for Road Traffic Victims |
22日(水) |
・小雪──24節気の一つ。陽射しは弱まり、冷え込みが厳しくなるころ。木々の葉は落ち、平地にも初雪が舞い始めます。 |
23日(木) |
・勤労感謝の日 |
28日(火) |
・東名高速飲酒運転死亡事故から18年──1999年11月28日、東京都世田谷区の東名高速道路東京IC付近で、家族4人が乗った普通乗用車に飲酒運転のトラック(高知県の運送会社)が追突、乗用車が炎上し幼い女児2人が死亡しました。事故によりトラック運転者の常習的な飲酒運転が判明し、社会に大きなショックを与え飲酒運転の罰則強化に結びつくとともに、遺族らの粘り強い活動はその後の「危険運転致死傷罪」成立に大きな影響を与えました。 |
11月中旬~下旬 | ・平成29年10月末における交通死亡事故発生状況(警察庁) |
~11月下旬 |
・過重労働解消のためのセミナー(厚生労働省委託事業)──長時間労働削減対策などに必要な知識やノウハウ、取り組み事例の紹介。各都道府県別に各回100名定員で開催(大都市圏は複数回実施)されます。 詳しくは、過重労働解消セミナー運営事務局のWEBサイトを参照してください。 |
11月上旬~ 12月中旬 |
・過労死等防止対策推進シンポジウム(厚生労働省委託事業)──過労死防止をテーマにしたシンポジウムが各都道府県単位で実施されます。入場無料。 詳しくは、過労死等防止対策推進シンポジウム事務局のWEBサイトを参照してください。 |
~12月中旬 |
・荷主等の事業場の担当者への安全衛生教育講習会(厚生労働省委託事業)
(各都道府県単位で開催──詳しくは各地の(一社)労働安全コンサルタント会支部へ) |
11月下旬 |
・平成29年9月末 労働災害速報(陸上貨物運送事業労働災害防止協会) ・平成29年9月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
11月下旬 |
・平成30(2018)年使用 交通安全年間スローガンの公表 毎日新聞紙上、全日本交通安全協会ホームページなど |
◆11月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(水) | 福岡 17:27 |
大阪 17:05 |
東京 16:46 | 札幌 16:27 |
15日(水) |
福岡 17:16 | 大阪 16:53 | 東京 16:34 | 札幌 16:11 |
30日(木) | 福岡 17:10 |
大阪 16:47 |
東京 16:28 |
札幌 16:01 |
冬至が近づき、暗くなる時刻が非常に早くなってくるので、車や人・自転車の多い夕刻はとても事故が起こりやすい時間帯となります。
早めに点灯するあなたの配慮が、他の車や歩行者に注意を促し、交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください