あおり運転などの交通トラブルに対する対処は?

最近ニュースなどで、あおり運転などを繰り返した上、他車を停止させて重大な交通事故を引き起こすような事件をよく目にします。こういった、無法なドライバーに遭遇した際にはどのような対応をとるよう指導すればよいでしょうか?

■あおり運転と罰則

 いわゆるあおり運転と言われる運転態様はいくつかありますが、いずれも他車に対する嫌がらせであり、また一歩間違えれば大きな事故に繋がるものが多いといえます。そしてこれらの行為は、ほぼ全て法律で禁止されており、罰則が定められています。

 

 車間距離を詰めて後ろからあおる行為は、道路交通法26条の車間保持義務違反となりえますし、幅寄せや急な割り込みは同法26条の2進路の変更の禁止の規定に違反します。またスピード違反は当然違反行為です(同法22条)。

 

 方向指示器を出さず進路変更したり(同法53条)、一定の明るさを超える前照灯について、対向車や前の車がいるときにハイビームのままにしたり(同法52条)、全く必要もないのにクラクションを鳴らすこと(同法54条2項)なども、違反行為となることがあります。

 高速道路で故障や危険防止のためなどの必要もないのに自動車を駐車したり停車したりすることも違反行為です(同法75条の8)。

 

 また同法70条は全般的に、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」として安全運転義務を科しています。

 

 そして、これらの規定には交通反則通告制度(同法125条以下・反則金を支払うことで刑事処分をされない制度)の適用はありますが、いずれも道路交通法上の罰則も定められています。

 

 また、あおり行為が事故に繋がって、人に死傷の結果が出た場合には、自動車運転過失致死傷罪が成立します。同罪の罰則は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です(ただし、傷害が軽い場合は刑の免除があります。)。

 

 そしてさらに、あおり行為の態様等によっては、危険運転致死傷罪が成立することがあります。同罪の場合、人を負傷させた時は1カ月から15年以下の懲役刑、人を死亡させたときは1年以上20年以下の懲役刑が定められています。

■危険な運転行為を受けた際の対応

1・危険の回避

 まず、あおりなどの運転行為は極めて危険性の高い行為であることを理解しなければなりません。そしてその危険から身を守る必要があります。また、前項で述べたように、相手の行為は違法な行為であることが多く、こちらが同じような行為を行ってしまわないよう、冷静な対応をすることも必要です。

 

 いわゆるあおり行為を受けたからといってこちらがスピード違反を犯して逃走したり、立腹して相手に対抗し、こちらが幅寄せや割り込みなどの嫌がらせを行ったりすることは、交通事故の可能性を著しく高める極めて危険な行為であり、かつ交通違反となります。

 

 また実際に交通事故が起きた場合には、第三者に対する責任は軽減されないと考えるべきですし、あおり行為を行った者に対する責任についても、過失相殺に止まり、免責されることはないといえます。

 

 あおり行為等があった場合は、まずは安全かつ速やかにその状態から離れることを考えなければなりません。執拗につきまとわれるなど、安全に逃れることが困難であるような場合でも、あおり行為を行う者を相手にしないで、自分は交通ルールやマナーを守って安全運転をすることが肝要です。

 

 万一前に割り込まれ、急停車するなどして車を停止させられた場合や、相手が車を降りてこちらに来たような場合でも、こちらがドアを開けて対応することは慎重にしなければなりません。

 

 原因がどうあれ、少なくとも相手方は冷静な精神状態ではないと思われ、そのような状況でこちらも車を降りるなどして直接応答すれば、暴力行為等に発展する危険性も高まると思われます。そのような場合には、しっかりドアをロックして、速やかに110番通報すべきです。

 

 なおその場合、自車に対する器物損壊の行為が行われることもあり、それを回避したいと思うことは当然ですが、やはり車を降りて対応するよりは、後日損害賠償請求等を行うことで対応することが、危険の回避などの視点から最善と言えます。

 

 とくに高速道路や、一般道路でも交通量の多い道路などにおいて、車から出て対応することは、より被害を広げる可能性が高いと考えるべきです。

2・証拠の保全

 あおり行為を受けた場合、余裕があれば証拠の保全のためドライブレコーダーやスマートフォンなどで相手の車の動静や、相手自身の行動を撮影しておくことは有用です。

 

 相手としても、撮影されてあおり行為や自分の行動の証拠を映像で残されると分かったら行為を止めることも十分考えられますし、そうでなかったとしても、後日のこちらの被害届の提出や刑事告訴、損害賠償請求の有力な証拠となります。

 

 ただし、まずは危険を回避して安全を確保することが第一であり、それを犠牲にしてまで証拠を保全するべきではありません。

 

 たとえば、助手席の同乗者などがスマートフォン等で撮影するのは良いですが、自動車を運転している人自身が運転しながらスマートフォン等の操作をすることは危険ですし道交法違反となりますので、証拠の保全はあくまでも撮影等が可能な場合にすべきです。

 

 この意味では、車の前だけではなく後方へのドライブレコーダーの設置も、有用といえます。

■会社としての対応

 以上をふまえて、会社としては従業員に対して適切な指導をするべきです。

 

 まずあおり運転等の危険性や違法性を十分に理解させて、自社の従業員があおり運転等をしないように教育することは当然ですし、もしあおり運転をされたような場合の対処法も周知すべきです。業務中にあおり運転を受けたときや、事故が生じた際の通報の方法や連絡先、対応のマニュアルを定めておくことも考えるべきです。

 

 また、事故に巻き込まれる危険性や、損害賠償請求のことを考えれば、証拠を保全できるように、会社の車にドライブレコーダーを設置することも検討すべきでしょう。

(執筆 清水伸賢弁護士)

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