5月の運転管理──2019年(令和元年)

■交通安全運動を盛り上げよう


4月の安全運転管理

 今年は5月に「春の全国交通安全運動」が実施されます。

 

 新入学児童も通学に慣れた頃ですが、5月はまだ、小学校低学年の事故が多い時期ですので、子どもの事故防止を意識しましょう。 

 

 運動の重点項目であるシートベルト・チャイルドシートの完全着用についても、この機会に再度指導してください。

 

 また、改元・即位に伴う10連休の実施などで行楽・旅行ムードが高まり、交通渋滞なども起こりやすくなっています。

 高速道路の通行には十分注意させましょう。 

  

5月の安全運転目標/運転者の皆さんへ

シートベルト・チャイルドシートを全員が着用しよう

■一般道路の後部座席では、3人に2人が非着用

シートベルト着用率の推移
警察庁の資料より(クリックすると拡大されます)

 道路交通法が平成20年に改正され、ドライバーが全ての座席の乗員にシートベルトを着用させる義務が生じてから11年たちますが、未だに後部座席での着用率は一般道路で38%と非常に低い状態で推移しています(※)。

 

 高速道路での後部座席着用違反の場合は、行政点数1点が付加されますので、74.2%とまだ着用しているほうですが、それでも運転席の99.6%と比べると不完全です。

 

 交通事故発生時に、これら非着用の乗員は車外に放出されるなど悲惨な状況に陥ることは皆さんご存知だと思いますが、なぜか後部座席に対しては甘くなっています。 

 

 交通安全運動の重点項目に毎年「シートベルトとチャイルドシートの正しい着用徹底」があげられるのも、こうした着用意識の低さからきています。

 ドライバーとしての責任と義務をもう一度確認しておきましょう。

(※着用率のデータは、2018年10月の警察庁とJAFの合同調査による)

■シートベルトのない子どもがいないよう気をつける

子供の飛出し

 とくに、マイクロバスやワゴン車などを運転して多くの乗員を乗せているときは、シートベルトやチャイルドシートに注意してください。

 

 車種によっては、9人乗り10人乗りといった車もあり、12歳未満の子どもの場合は3人で2人と計算すると、11人、12人と乗れる計算になります。

 しかし座席のベルトは有限ですから、締めるシートベルトのない子どもが存在する場合も少なくありません。

 

 こんな危険な状態に気づかないで高速道路などを走行している家族グループがいます。

 少しでも運転者がミスをしたり進路変更の車に接触されて横転でもしようものならば、真っ先にシートベルトのない子どもが死亡することになるのは明白です。

 

 命を守るシートベルトの重要性について考えてください。

  

月の重点管理目標/管理者の皆さんへ

春の全国交通安全運動に参加しよう

■子ども・高齢者の事故防止

春の全国交通安全運動ポスター
内閣府作成の運動ポスター

  2019年(令和元年)の「春の全国交通安全運動」は、統一地方選挙の影響を受けて5月11日(土)から20日(月)までの10日間実施されます。また、5月20日は「交通事故死ゼロを目指す日」となっています。

 事業所では、この機会をとらえて積極的な交通安全活動を行いましょう。

 

 今年の運動の重点項目には「子どもと高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止」が第一に掲げられています。 

 

 警察庁の統計によると、子どもの歩行者が事故に巻き込まれるケースでは、圧倒的に新入学児童など低学年の割合が多くなっています。

 小学生の交通事故が最も多いのは5月ですが、特に小学1年生では5月中旬・下旬にかけて大きく増加する傾向にあります。

 さらに、子どもの側に法令違反がある場合は、「飛出し」と「横断違反」で約6割を占めています。

 

 通勤のマイカー・バイク、自社の営業車両が生活道路や通学路を通行するときには、低学年児童に注意するよう指導してください。

 

 また、加齢等に伴う身体機能の変化が高齢者の交通行動に及ぼす影響などに関する安全指導の徹底が強調されています。再雇用などのため65歳以上の従業員を運転業務に従事させている事業所では、十分な配慮をしましょう。

 ※交通安全運動について、詳しくは内閣府のWEBサイトを参照してください。

◆ 実施期間  令和元年5月11日(土)から20日(月)までの10日間

◆ 交通安全運動の全国重点

(1) 子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止

(2) 自転車の安全利用の推進

(3) 全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底

(4) 飲酒運転の根絶

◆ 交通事故死ゼロを目指す日 5月20日(月)

横断歩道における歩行者優先を徹底させる

横断歩道の歩行者保護
歩行者のいる横断歩道で必ず停止するように指導しよう

 交通安全運動の要綱では、子どもや高齢者の歩行者保護として、横断歩道における歩行者の優先が強調されています。

 

 これは、我が国において横断歩道における歩行者の通行が軽視され、ほとんどの車が停止しないで歩行者が車の通過を待つといった実態が横行しているからです。

 日本自動車連盟(JAF)の調査では、横断歩道を渡ろうとるする歩行者がいても9割の車が停止しなかったというデータがあります。

 

 この著しい歩行者軽視が、横断歩道上での歩行者事故に結びついています。

 事業所における交通安全教育でも、原点である「横断歩道上における歩行者保護」について今一度教育しておきましょう。

 

 また、右左折時にも横断歩道を通過する前に手前で一時停止して、歩行者の有無を再度確認する習慣をつけるように指導してください。 

  

5月の健康管理目標/従業員の皆さんへ

メタボ症候群の危険を意識しよう

メタボリックシンドローム

■気づかないうちに動脈硬化が進行

 

 メタボリックシンドローム(メタボ症候群)の危険性はなかなか本人が意識できないというところにあります。

 

 自覚症状がほとんどなく、自分は元気で病気だとは思いませんし、生活習慣が好ましくないということも気になりません。

 

 しかしこの間に、動脈硬化が進行して、健康診断では、高血圧や糖尿病・脂質異常が始まっていると指摘されることがあります。

 

 ただし、健診で異常と言われても症状はほとんどないので、結局、危険を感じないで進行が続く人が多いと言われています。メタボ症候群に罹っている人は、運転中に突然の心臓発作などに見舞われることもあるので、警戒しましょう。 

■5%の減量で、かなり症状は改善する

 メタボリックシンドロームの改善には、まずは体重の5%減量目標を立てることが重要だと言われています。

 5%の削減で内臓脂肪が減り、高血圧・高血糖・脂質異常が改善します。また、脂肪細胞からの分泌が正常に近づき、症候群の進行を抑えます。

 

 体重が80キロの人であれば、4キロの減量ですから、それほど難しい数字ではありません。減量を始めたら維持することが大切です。

 栄養バランスをくずさないで、少し食事量を減らし、早食い・間食・夜食などの内臓脂肪をためるような食習慣を改めます。 

 

 また、食事で摂取するエネルギーを運動や日常活動で消費するエネルギー以下に維持するために、日常的な運動習慣を身につけましょう。

 

※この欄は、厚生労働省「e-ヘルスネット:メタボリックシンドローム」を参考にしました。

  

その他の管理・指導項目

■高速道路における渋滞車両への追突事故を防止しよう

高速道路の渋滞追突事故
渋滞車両の存在を予測して運転しよう

■停止車両の脇にいる歩行者にも注意

 

 高速道路上で停止した車や本線上にいた歩行者に衝突する事故が依然として多発しています。

 

 5月は行楽シーズンです。今年は5月に10連休があり、高速道路渋滞が多くなりそうです。

 本線上の車列が長く続いたり長距離走行に慣れない車のガス欠や整備不良による停車が増えると予測されます。

 

 また、停止した車の乗員が本線上を歩行するなどの事態も増えることが予測されます。

 

 朝礼や点呼のときには、高速道路でも停止車両や歩行者がいることを予測して、電光掲示板などの情報に注意して運転するように繰り返し指導してください。 

  

事業用自動車の運行管理者のみなさんへ

■特殊車両の通行に関する改正をチェックしよう

■タブレット等の許可証を認可

 

 2019年4月より、特殊車両通行許可証の備付けは従来の紙媒体だけでなく、電子媒体(タブレットなど)による携行が可能になりました。

 

 これにより、保管スペースの節約ができるようになりましたが、運転者は現地取締りの際などに、自分でタブレット等を使って該当する通行許可証のみを表示しなければいけませんので、機器の操作を熟知するように指導する必要があります。

 機器のバッテリー切れ等により表示できない場合は、不携帯とされ警告対象となりますので、注意しましょう。

 

 なお、視認性を確保するため「8インチ以上」の電子機器を推奨されていますので、ディスプレイの小さなスマートフォンなどに許可書を入れるのは避けるべきでしょう。

国土交通省の資料より
国土交通省の資料より

■特車許可期間を2年から4年まで延長

 

 2019年4月より、特殊車両通行許可の有効期間について、以下の一定の要件をすべて満たす優良事業者に対しては、現行の「2年」 から「4年」へと延長されました。

  1. 過去2年(4月以降、2年を超える期間で許可を受けた事業者は、当該期間が対象)で特車通行許可に係る違反による警告等を受けたことがないこと
  2. 業務支援用ETC2.0車載器を装着し、その情報を登録していること
  3. Gマーク(安全性優良事業所)の認定を受けていること

 詳しくは、国土交通省の特車申請webサイトを参照してください。 

  

5月の安全運転管理ごよみ──2019年(令和元年)

日  付 行 事 等

 1日)~

 31日(金)

・消費者月間──5月は「消費者月間」。事業者、行政が一体となって消費者問題に関する啓発・教育等の各種事業を集中的に行っています。消費者安全法に基づく報告義務のある重大事故は消費者庁ホームページで毎週、公表されています。乗合バスやタクシーの乗客被害、自動車の火災なども含まれます。

 1日(水)~ 

 9月30日 

・「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」期間

 厚生労働省が主唱する今年の熱中症予防対策キャンペーンは、令和元年5月1日から9月30日まで。政府全体の取組である熱中症予防強化月間の7月を重点取組期間としています。 

 1日

・即位の日/メーデー

 2日

・国民の休日/八十八夜
 3日 
・憲法記念日
 4日 
・みどりの日
 5日  ・子どもの日/立夏
 6日 ・振替休日
 8日(水) ・世界赤十字デーWorld Red Cross Red Crescent Day)──赤十字 を創設したアンリ・デュナンの誕生日を記念して制定されました。 
 12日 ・母の日(第2日曜日)
 12日 ・自転車重過失事故(大阪)から8年──2011年5月12日、大阪市浪速区の国道25号線で、車2台の前を強引に横切った危険な自転車の行動により歩道上の歩行者2名が死亡しました。車の運転者は不起訴となり、自転車乗用者が重過失致死罪で禁錮2年の実刑判決を受け、危険性帯有者として運転免許の180日停止処分も受けています。
 14日(火) ・5月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

 17日(金)

 6月7日

・運行管理者試験(2019年度第1回)の申請期間

 インターネットによる電子申請は6月18日(火曜)まで

  ★試験日2019年8月25日(日)

  ※おまかせ申請は5月10日から6月13日まで。

  → 詳しくは、運行管理者試験センターwebを参照

 20日(月)

自動車運転死傷行為処罰法施行から5年──危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪が刑法から削除され、自動車運転死傷行為処罰法へ移行し、罪名変更されて2014年5月20日に施行されました。

 20日(月)

「ワールドビーデイ」(世界蜂の日)──ミツバチや花蜂の保護を通じて、多様な生態系の保全と地球環境の課題を考える日。

 22日(水)~

 24日(金)

 

・自動車技術会 学術講演会春季大会

・人とくるまのテクノロジー展 2019

 ──於:パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1-1-1)

 ※詳しくは同会のWEBサイトを参照してください。

 22日(水)~

 24日(金)

・第92回 日本産業衛生学会──産業保健に関する様々な実践報告・学術

 発表が行われる。於:名古屋国際会議場

 「働く人のメンタルヘルスと栄養」「アンガーマネジメント」「ストレ

 スチェック」「治療と仕事の両立支援」など、演題多数。

  ──詳しくは、同学会WEBサイトを参照。

 26日

・東名高速道路全通記念日──1969年(昭和44年)のこの日、大井松田・御殿場間が開通、東名高速道路の東京・小牧間346kmが全通しました。

 28日(火)~

 29日(水)

日本交通心理士会コーチングセミナー(ビギナーズコース)

 ──於:仙台ドライバーサービス(仙台市宮城野区日の出町)

 運転者の自己評価スキルを高めることで自らの安全性を向上させる自立型ドライバーづくりを学びます。講師は、太田博雄(東北工業大学名誉教授)他。申込期限は5月15日(水)。同会のWEBサイトを参照。

 29日(水)

・ダム湖転落5人死亡事故(大阪)から3年──2016年5月29日、大阪府河内長野市の府道で、26歳のドライバーが眠気に襲われたままワンボックス車の運転を続け、居眠り状態で滝畑ダムに転落。同乗の5人が死亡する事故が発生しました。運転者は「睡眠不足だったと思う」と述べて罪を認め、禁錮4年6か月の判決を受けています

 29日(水)~

 31日(金)

・運輸 交通システムEXPO 2019──事業用自動車ドライバーの安全運転、事故防止、省エネ運行、健康管理のためのシステムや製品、技術を集めて紹介/主催は、運輸・交通システムEXPO実行委員会

 ──於:東京ビッグサイト 西ホール (大阪開催は6月・インテックス大阪)

 ※詳しくは、イベントのWEBサイトを参照してください。

 31日(金)

世界禁煙デー ── 禁煙週間は6月6日月曜日まで。詳しくは厚生労働省のWEBサイトを参照してください。

   

 5月上旬

平成30年度自動車アセスメント結果の発表(国土交通省

 5月中旬 ・2019年4月末までの交通事故発生状況発表(警察庁
 5月下旬

2019年2月分 トラック輸送情報国土交通省

 

 ◆5月の日没時刻国立天文台天文情報センターによる)

1日(水) 福岡 19:01

大阪 18:42

東京 18:27 札幌 18:35

 15日

福岡 19:12 大阪 18:54

東京 18:39

札幌 18:51
31日(金) 福岡 19:23

大阪 19:05

東京 18:50

札幌 19:06
早めのライト点灯で事故防止
「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!

 5月は日が長く、多くの地域で日の入り時刻は19時台となってきますが、行楽の歩行者や自転車が夕刻まで屋外にいますので、早めのライト活用を意識しましょう。

 歩行者や自転車との事故防止のために、点灯して互いに早期発見をする意識を持ってください。

 

 早めに点灯するあなたの思いやりが、交通事故減少に結びつきます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、夕刻に増える交通参加者を警戒して運転してください。

 
 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。


 詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 

 また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
 JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 
今日の安全スローガン
今日の朝礼話題

4月19日(金)

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