よくスポーツ選手が「結果がすべてなんです。いくら練習のプロセスが立派でも負けたら、終わりです」と言うことがあります。
確かに、金メダルを取れなかった選手がそう思う気持ちはわかりますが、安全に関しては逆の考え方をしないといけません。
というのは、多くの運転者は自分が無事故を続けてきたという「結果」だけをよりどころにして、「自分は安全運転者だ」と思いこむ危険があるからです。
しかし、実はこの結果だけに着目する態度には将来の安全に何の保障もありません。事故がなかったのは本人の努力の結果ではなく、実は偶然が重なって運が良かっただけかも知れないからです。
まったく車の点検・整備をしない運転者であっても、最近の車はよくできていますから、運がいいと車の故障にあわずにすむことがあります。「点検しない」というプロセスを無視して、結果で評価してしまうと自分は大丈夫だという誤った自己評価を招きます。
そしていつか運が途切れたとき、突然タイヤがバーストして事故にあうことになるのです。
毎日点検を欠かさなかったために故障がなかった運転者とどこが違うのか、自覚がないのです。これは点検だけでなく運転行動のあらゆる場面で言えることですね。
路肩から発進するとき、ボディの死角を心配して綿密に確認をする運転者はどの程度いるでしょうか?ほとんどの運転者は確認しなくても事故にあった経験はないので、確認がおざなりです。
しかし、発進時の死角の確認は常に重要であり、これを軽視することで幼い子どもなどをひくリスクが高まります。まれに自分の子どもをひいてしまう縁故者事故は、こうした死角リスクの見落としから発生しています。
結果は偶然であり、危険を管理するプロセスこそが重要です。常に「心配すること」を習慣にして、発進時から安全運転のプロセスを愚直に実行してください。
(シンク出版株式会社 2020.7.15更新)
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