車は使い方を誤ると殺人の道具になる

 高度経済成長期には、交通事故も今とは比較にならないほど多発しており、車は便利な乗り物だが使い方を誤ると「走る凶器」になると、よく言われていました。

 

 この頃は、交通事故も減少傾向にあり、こうした言葉を聞くことはあまりなかったのですが、つい最近、大阪府堺市であおり運転でバイクの大学生を死亡させた事故で、最高裁が殺意を認定したという報道を見て、改めて車は運転する人の意思によって凶器にもなると改めて思いました。

 

 2018年7月2日夜、殺人罪に問われた被告は、堺市の府道で普通乗用車を運転中に大学生のバイクが前方に進入したことに立腹し、追跡した上で時速約96~97キロで車を追突させ、大学生を頭蓋骨骨折などで死亡させたものです。

 

 一、二審では、「被告が車のブレーキをかけようとしたのは、車間距離が約10mになってからで、弱くしかかけなかった」と指摘し、車体の重量差などから「死亡する危険が高いと十分認識していたのに、あえて衝突させた」と判断し、「未必の殺意」を認定していました。

 

 最高裁が上告を棄却したことにより、懲役16年とした一、二審の判決が確定しました。

 

 車を「走る凶器」にするのもしないのも、運転する人の意識次第です。車を殺人の道具にしないでください。

(シンク出版株式会社 2020.9.9更新)

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