冬道の事故防止指導を実施していますか

■油断からくるスリップ・スタック事故が多発しています

 

 今冬は、寒波の影響でたびたび大雪が降ることもあり、昨年や一昨年より雪道・凍結路での事故が多発しています。

 先日は東北自動車道でホワイトアウト現象などが原因で最大 130台もの車が巻き込まれる多重衝突死傷事故が起こりました。

 

 事業所のドライバーへの冬道安全運転指導は万全でしょうか?

 

 降雪がある地域に住むベテラン運転者でも、1~2年雪が少ない冬を経験すると少し感覚が鈍り、うっかり事故を起こす危険が高まります。 

 

 この冬は、指導を強化しましょう。また、新たに雇用した従業員や非正規の派遣社員、転勤者、最近免許をとってマイカー通勤を始めた従業員などは、初めての雪道を経験する運転者がいるので、重点的な指導を実施してください。

■冬道指導の基本はタイヤチェックと装備点検から

国土交通省の配布資料より
国土交通省の配布資料より

「冬用タイヤに交換しているから大丈夫」

という思込みを捨てよう

 

 降雪地域であっても、事業所の車両がすべて冬用タイヤに履きかえられているとは限りません。

 普段使用しない車両は、スタッドレスタイヤに交換していない場合があり、その車両が夏用タイヤと知らないまま従業員が臨時で運転してスリップしたという事例があります。

 社有車の運行時には、必ず、スタッドレスタイヤへの交換確認(又はチェーン搭載の確認)を実施させてください。

 

タイヤの「プラットホーム」が出ていないか、溝の確認を

 また、冬用タイヤでもプラットホームが現れているタイヤでの雪道走行は危険です。タイヤの残り溝が保安基準範囲内(1.6mm以上)であれば普通の道は走行できますが、残り溝が50%を下回ってプラットホームが現れた場合は、冬用タイヤとしての機能を失っています。

 

 国土交通省はこの点をとくに重視し、今年1月26日に「旅客自動車運送事業運輸規則/貨物自転車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用」などを一部改正して、トラック・バスなどの自動車運送事業者に冬用タイヤの安全確認を義務づけ、「溝の深さがタイヤメーカーの推奨する冬用タイヤとしての使用限度を超えていないこと」を規定しました。

 整備管理者が残り溝をチェックして冬用タイヤとしての安全性を確認するとともに、運行管理者も点呼で確認することを明確化しています。 

 さらに、事業用自動車でこれらの確認がされずにスリップ事故などを招いた場合、監査を実施して事業者を処分する方針を決定しました。

 

 *運行管理者の方はこちらを参照 → 冬用タイヤの残り溝点検を義務づけ(2021.1.26)

(日本タイヤ協会の啓蒙チラシより)
(日本タイヤ協会の啓蒙チラシより)

冬道装備の確認

 事業所の車が運行中に大雪被害などに巻き込まれ、スタックしたり立ち往生する危険を予測し、以下の備品が車両に搭載されているか確認させておきましょう。運転者自らが装備を確認することで、雪道走行の危険に対する自覚を高めることができます。

 

  • タイヤチェーン・ジャッキ
  • 作業用軍手・長靴・懐中電灯
  • 毛布、保温アルミシート
  • スコップ・解氷スプレー・アイススクレーパー
  • 非常用飲料/非常食料
  • スマートフォン充電器

■スタッドレスタイヤを過信させない

 スタッドレスタイヤなど冬用タイヤは、ゴムの特性などを高めて雪道や凍結路で滑りにくくしてグリップ力を確保していますが、たとえ残り溝が規定の範囲内であったとしても、スリップ防止機能は完璧ではないことを繰り替えし指導しましょう。

 とくに経験の浅い運転者は、スタッドレスタイヤのテレビコマーシャルなどを見て性能を過信し、夏場と同じように運転できると思いこんでいる恐れがあるので要注意です。

 

 例えば、カーブなどでは遠心力によって横滑りが生じやすく、下り坂が加わると重心が前輪へ移動するため後輪のグリップ力が小さくなり、対向車線や路外へのはみ出しが生じやすくなります。

 右カーブにおける路外逸脱は谷底への転落事故、左カーブでは対向車との正面衝突事故などに結びつき、少しのミスから死亡事故になるケースがあることを理解させてください。

 

 また、交差点や踏切の手前など多くの車が踏み固めてツルツルになった部分と、雪が積もった状態の部分では明らかに摩擦係数が違います。また橋の上や高架部分などは凍結しやすいので、雪が積もった道と比べると急激に摩擦係数が低下します。路肩と道路中央部で摩擦係数が大きく異なる場合もあります。

 摩擦係数の異なる場所をタイヤがまたいだ状態で不用意にブレーキ操作やハンドル操作をすると、スタッドレスタイヤであってもスピンなど思わぬ挙動をすることがあります。

 

 冬道では、ソロソロと進み「なるべく操作をしない」ことが重要であり、メリハリのきいた運転操作ができないことに気づかせましょう。

カーブではスタッドレスタイヤでも、はみ出しを警戒する

橋の上等ではスリップ事故が発生しやすいのでブレーキ操作を避ける


「初めての冬」を迎えた運転者に注意

 長年スリップ事故が起こっていないので、自社の運転者は冬道走行に慣れているから大丈夫と油断していませんか?

 ほとんどの運転者が大丈夫であっても、リスクの高い人が常に存在します。運転の管理者は「新規採用運転者」「派遣社員」「転勤してきた従業員」「昨春からマイカー通勤を始めた人」など、初めての冬道を体験する人がいないか注意してください。

 こうした冬道走行の初心者には、事業所周辺の道路でとくにスリップ事故が起こりやすい坂道や橋梁などの情報を教え、念入りに運転方法を指導しておきましょう。

「全車チェーン規制」が出るようなら運行停止も検討して指示しよう

 なお、全車両チェーン規制などを実施するような大雪の予報が出た場合、通行止めの可能性を考え運行を停止する判断が重要です。国土交通省は、「大雪や雪崩、暴風雪等に関する警報・注意報」が発令された場合は輸送の安全確保のため、貨物輸送の停止やバス等の運休も検討するようにという勧告を出しています。

 荷主等に連絡して、運休が妥当な場合は無理な運行は停止させましょう。

 チェーンを巻いた経験のない運転者が路肩でチェーンを装着する事態は危険なので、チェーンを車両に一切搭載させず、全車チェーン規制が出る経路はすぐ運行を停止するという方針を決めた物流会社もあります。

■「雪道での立ち往生に注意」パンフレットを発行──国土交通省

雪道での立ち往生に注意!国土交通省
国土交通省作成のパンフレット

 なお、立ち往生事例を受けて、国土交通省では2021年1月から、警察庁や自動車関係団体とともに勉強会を設置し、立ち往生の原因や防止策について技術的に分析・検討を進めています。

 その一環として、勉強会で得られた知見を基に大型車を使用する運送事業者などを対象に、冬用タイヤ・チェーンの注意事項をまとめたパンフレットを作成しました。

 

 パンフレット記載の注意事項は、以下のポイントです。

  • 路面を覆うほどの過酷な積雪路・凍結路においては、スタッドレス表記(国内表記)又はスノーフレークマーク(国際表記)が表示されている冬用タイヤを全車輪に装着する。
  • 降雪時には、立ち往生する前に早めのチェーン装着を心掛ける。立ち往生した後の装着は極めて困難。
  • 冬用タイヤ及びチェーンのいずれも性能限界があり、万能ではない。運行前に道路・気象情報を確認し、運行の可否や経路を検討する。

 

 ※パンフレットは、国土交通省のWEBサイトからダウンロードできます(2021.2.19更新)。

 

■最新の雪道情報を得ることが大切

  今年は天気が急変して、予期せぬ大雪に見舞われることが多いので気象情報への注意が重要です。以下のような雪道情報のリンクを運転者に伝え、警戒を怠らないように指示しましょう。

国土交通省関係のWEBサイト
● 冬の道路情報 雪みち情報リンク集  各地域の道路の積雪情報などをチェックできる
雪みちの運転テクニックに関するリンク集

 雪道のドライブテクニックなどを解説

今年度の雪の状況  現在の雪の状況、大雪での緊急速報など
気象庁関係のWEBサイト
● 大雪警報・注意報  全国の大雪警報・注意報を検索できる
現在の雪(解析積雪深・解析降雪量) 

 各地における現在の積雪量を検索できる

● アメダス(全国積雪深) 

 アメダス表(又は地図)で全国の積雪検索

公益社団法人 雪センターのWEBサイト
● 雪関係の気象情報リンクページ  全国、現在の雪状況の詳細をリンク
現在の道路の状況 

 地域の雪道カメラなどとリンク

● 現在の雪の状況  

 雪関係の各地の気象情報とリンク


【参考ページ】

 

 ・冬用タイヤの残り溝点検を義務づけ(運行管理者のための知識──当サイト)

 ・タイヤの点検を徹底していますか危機管理意識を高めよう──当サイト 

 ・冬用タイヤの安全性を確認することをルール化しました(国土交通省のwebサイト) 

 ・大雪に対する国土交通省緊急発表(国土交通省のwebサイト)

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