キックボードの免許制度について教えてください

新聞等を見ていると、キックボードが道路交通法違反(無免許運転)で摘発されたといった記事をよく見ます。キックボードといっても色々な種類があると思いますが、具体的にどういったキックボードに免許が必要なのでしょうか?また、免許を持っていないでキックボードを運転した場合、どのような罰則を科せられますか?

■動力のないキックボード(キックスケーター)の規制

 一般にキックボード(「キックボード」は登録商標であり、一般にはキックスケーターなどといわれますが、ここでは「キックボード」といいます。)と言われるものでも、いろいろな構造のものがあり、日本における規制は、大きく動力の有無で内容が変わってきます。

 

 モーターなどの動力がついておらず、自分の足で蹴って進むようなキックボードが、道路交通法第2条第1項第11号イに規定する「軽車両」に該当するかどうかという事業者の照会に対して、国家公安委員会は、令和3年6月14日、「現に広く一般的に人又は物の運送の用に供されておらず、また、車体の大きさや安定性、動力源等の構造を総合的に勘案してもそのように用いられることが想定されないため、道路交通法上の「車」として何らかの規制を行う必要性が認められず、「車」には当たらないと解されることから、当該キックボードを用いている者は、道路交通法上の歩行者になると解される。したがって、当該キックボードは道路交通法第2条第1項第11号イに規定する「軽車両」には該当しないと解される。」と回答しています。

 

 すなわち、動力がついていないキックボードは、軽車両ではなく、ローラー・スケート等と同じく遊具と解されますので、運転免許等の規制はなく、歩道でも利用できます。

 

 もちろんこの場合でも、道路交通法上全く規制がないわけではなく、同法第76条4項3号で、「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」は禁じられており、違反すれば5万円以下の罰金となります。

■動力がついているキックボードの規制

 キックボードに電動式のモーターが取り付けられている場合、(原動機(定格出力0.60キロワット以下))により走行する電動キックボードについては、道路交通法上の原動機付自転車に該当します。

 

 よって、この場合、電動キックボードは原動機付自転車を運転することができる免許が必要ですし、歩道は通行できず、車道を通行しなければなりません。

 

 利用に際しては、ヘルメットを着用するなど、原動機付自転車の規制が適用されます。

 

 運転免許を有さずに運転をすれば、無免許運転として3年以下の懲役又は50万円以下の罰金の罰則の対象となります。

 

 質問の事例もおそらく原動機付自転車の運転免許を得ずに電動キックボードを運転していたものと考えられます。

 

 また、このような電動キックボードは、道路運送車両法上の原動機付自転車にも該当しますので、制御装置(ブレーキ)、前照灯(ライト)、後写鏡(バックミラー)等の構造や装置も同法の保安基準に適合しなければ、車道を走行してはなりません。

 

 同保安基準を満たさずに違反すれば、整備不良の車両を運転したとして3月以下の懲役又は5万円以下の罰金の罰則の対象となります。

 

 さらに、原動機付自転車と同様、自動車損害賠償責任保険にも加入しなければならず、また軽自動車税もかかり、ナンバープレートも取り付けなければなりません。

 

 なお、さらに定格出力0.60キロワットを超える場合には、その数値に応じて車両区分が変わることになります。

■キックボードに関する今後の状況

 海外では、免許等の条件を必要とせずにキックボードが利用されているところもあり、我が国でも事業者から規制を緩和するようにとの要望があります。

 

 このような声を受け、2021年4月23日、経済産業省は産業競争力強化法に基づいて新事業特例制度を利用して、国の認可を受けた事業者により貸し渡される電動キックボードについて、実証実験を行っています。

 

 これは車体の大きさや構造に一定の基準を設け、同基準の一定の範囲においては、ヘルメットの着用を任意とし、自転車道を通行できるようにしたり、一方通行や自転車を除く車両通行禁止の道路を通行できるようにして検証がされています。

 

 また、警察庁の改正道路交通法案原案では、電動キックボードを含む小型電動モビリティ-の交通ルールについて、最高速度や大きさに応じて規定することとされています。電動キックボードなどのうち、最高速度20km以下のものを小型低速車(仮称)とし、16歳未満の運転は禁じますが、免許は不要とし、自転車専用レーンの走行も可能とされています。

 

 また歩道の走行は原則禁止ですが、最高速度6kmに制御できる等の要件を満たせば走れるようにする方向で検討されています。ヘルメットの着用も努力義務とし、走行については自転車と同様の扱いとする方向で検討されています。

執筆 清水伸賢弁護士)

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