11月は、道路交通法の一部が改正され、自転車の危険な運転に新しく罰則が整備されました。その内容をしっかりと理解して、自転車の安全利用に取り組みましょう。
管理面では、無灯火で走行する自転車の見落としに注意を向け、対自転車事故の防止に取り組んでください。
また健康面では、「過労死等防止啓発月間」であることに注目し、睡眠時間の確保に努めましょう。
11月の安全運転目標
自転車の安全利用に
努めよう
11月の重点管理目標
無灯火自転車に
注意させよう
11月の健康管理目標
睡眠時間の確保に
努めよう
■その他の管理・指導項目 ■運行管理者の皆さんへ ■11月の安全運転管理ごよみ
●自転車の安全利用に努めよう
ながらスマホ・酒気帯び運転の厳禁
2024年11月1日、道路交通法の一部改正により、自転車の危険な運転に新しく罰則が整備されました。
これにより、スマートフォンを手に持ち、自転車に乗りながら通話をしたり、画面を注視することが禁止され、罰則の対象となりました。
「仕事中に自転車を運転することはない」という人も、プライベート時に自転車に乗ることがあるかもしれませんので、その内容をしっかりと理解しておきましょう。
自転車のながらスマホに違反した利用者には、6月以下の罰金又は10万円以下の罰金が科されます。事故を起こすなど、交通の危険を生じさせた場合には、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。
また、今回の改正では「酒気帯び運転」についても罰則規定が整備され、違反した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
同様に、自転車の飲酒運転を幇助した者にも罰則が適用され、自転車を提供した者には3年以下の懲役または50万円以下の罰金が、また、同乗者や酒類提供者には2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
なかには「飲み会帰りに自転車に乗っていた」というような人もいるかもしれませんが、自転車であっても、飲酒運転は禁止されていることを肝に銘じ、絶対に自転車に乗らないようにしましょう。
ヘルメットを着用する
自転車の乗車用ヘルメットが着用努力義務化され、1年半が経ちましたが、みなさんはヘルメットをしっかりと着用できていますか?
警察庁の発表によると、令和6年7月に行われた街頭調査結果では、自転車のヘルメット着用率は17・0%となっており、前年に行われた調査と比較して3・5%上昇していますが、まだまだヘルメットをかぶっている人は少ないようです。
自転車で交通事故を起こした際に、半数以上の人が頭部を損傷しており、ヘルメット非着用時の致死率は、着用時の約1・5倍も高くなるというデータもあります。
めんどくさい、窮屈だ、髪型が乱れる……など、ヘルメットをかぶらない理由はたくさん挙げられますが、命がかかっていることを理解して、業務中、プライベートに関わらず、自転車に乗る際にはヘルメットを着用するようにしていきましょう。
●無灯火自転車に注意させよう
自転車を見落とさないために
薄暮時や夜間に、ライトを点灯せずに走行する自転車が散見されますので、このような危険な自転車の見落としに注意することを指導しましょう。
自転車を見落としてしまうと、そのままの速度で衝突したり、減速が十分に行われないため、死亡事故に直結するおそれがあります。
自転車利用者のなかには、左側通行を守らない人もまだまだ多いので、正面衝突にも注意が必要です。
このほか、対自転車事故は、交差点を左折する際に衝突する事故が頻発しています。
その主な原因は、自転車の見落としであると考えられますが、その要因としては、自転車がさまざまな方向から交差点に進行してくることや、自転車のスピードが速いことなどが挙げられます。
ただでさえ見落としやすい自転車ですが、そこに「無灯火」が加わると、危険極まりありません。
そのため、交差点を左折するときには、交差点に進入する前から自転車を探すことを意識させるとともに、左折時には、速度をしっかりと落として安全確認を徹底することを指導してください。
●睡眠時間の確保に努めよう
質のよい睡眠をとろう
11月は「過労死等防止啓発月間」ですが、過労死と睡眠不足には大きな影響があると考えられています。
睡眠は、蓄積した疲労を回復し、ストレスを解消する機能があるため、睡眠不足が続くと徐々に疲労が蓄積するため注意が必要です。
理想の睡眠時間は7~8時間と言われますが、適切な睡眠時間は年齢や個人によって異なります。
「短いかな」と思っていても、日中に眠気を感じなければ、睡眠時間は足りていると考えても問題なさそうです。
一方、日中に眠気が生じるようであれば、睡眠不足のおそれがあるため、いつもより1時間ほど早く寝てみてください。
「なかなか眠れない」という人は、睡眠環境を見直してみましょう。寝室は暗くして、仮眠室等では、アイマスクや耳栓するとよいでしょう。
また、静かな場所で寝てください。小さな話し声でも睡眠を妨げます。
このほか、寝室は暑すぎても、寒すぎてもよくありません。少し涼しいと感じる程度、室温18℃、湿度65%くらいの環境が適していますので、これからの季節は暖房を活用し、環境を整えましょう。
※この記事は、以下のサイトを参照しました。
●全日本トラック協会 「トラックドライバー睡眠マニュアル」
11月に入ると急に気温が下がり、初雪をみる地方も多くなります。
荷台へのチェーン搭載やスタッドレスタイヤへの履替え、雪道用のグッズの搭載などに目を配りましょう。
とくに、タイヤ交換は積雪をみてからでは遅いので、気温に関わらず計画的に実施しておきましょう。
混雑時の急いだタイヤ交換は、整備工場であってもミスが起こる可能性があり、大型車では脱落事故に結びついています。
また、出発する地域は全く雪の降らない地域であって、運転者が気温の低い地域に出張する場合は想像力を働かせた万全の措置が必要です。
遠地出張して車を借りる運転者には、レンタカー予約時にスタッドレスタイヤが装着してあるか、最近の路面状況(凍結がないか)などをチェックさせましょう。
降雪地では、車から降りるとき滑って転倒し足を骨折するといった事故も起こっていますので、寒冷地用の靴や滑り止め(靴用スタッドレススパイク)を持参させること等に注意してください。
昨年7月に新しい交通ルールが施行された電動キックボード(特定小型原動機付自転車)に関する交通事故が多発しています。
新しい交通ルールが十分に理解されていないことが原因と思われますが、駅前等で手軽に利用できるレンタルキックボードが、地方都市でも急速に普及しており、利用者が急増していることにも注意が必要です。
事業所でも、利用する・している運転者がいるかも知れませんので、交通ルールの遵守を徹底させましょう。
主な交通ルールは以下の通りです。
また、乗車用ヘルメットの着用が努力義務となっていることを強く訴えましょう。
●飲酒運転の根絶をはじめとした15項目
全日本トラック協会では、令和6年11月16日(土)から令和7年1月10日(金)まで、第64回「正しい運転・明るい輸送運動」を実施します。
運動の実施項目は以下の15
この運動は、毎年同協会が実施していますが、今回は飲酒運転に関する行政処分が改正されているほか、それにともない「飲酒運転防止対策マニュアル」も改訂されましたので、一度、確認しておきましょう。
●タイヤ交換時期はとくに注意
後を絶たない大型車の車輪脱落事故を防ぐため、国土交通省は、大型トラック、大型バス(※)を使用する自動車運送事業者に対して、「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施しています。
令和5年度の車輪脱落事故発生件数は142件(前年度比2件増)と、増加傾向にあります。
例年、車輪脱落事故は冬用タイヤへの交換など車輪脱着作業から1~2ヶ月後が大半を占めており、積雪予報が発せられた直後に交換作業が集中し作業ミスが発生しやすい状況にあります。
そこで、余裕を持って正しい脱着作業が実施できるよう、積雪を待たずに、整備管理者が中心となって計画的な冬用タイヤ交換作業を実施することを呼びかけています。
自社で大型車のタイヤ作業交換を行うときは、作業者に、タイヤ脱着作業管理表に沿って作業を実施させ、その結果を記録させましょう。
防ごう!大型車車輪脱落事故(ドラマ編)
【車輪脱落防止】ホイールナットの緩み点検方法
日 付 | 行 事 等 |
1日(金)~ 30日(土) |
・過労死等防止啓発月間(過重労働解消キャンペーン)──厚生労働省が主唱し、著しい過重労働や賃金不払残業の撲滅に向けた監督指導や電話相談(0120-794-713/9時~17時)などを実施します。 ★適正な労働時間の把握 ★36協定の周知 |
1日(金)~ 30日(土) |
・エコドライブ推進月間──警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省で構成するエコドライブ普及連絡会は、11月をエコドライブの推進月間として積極的な広報を行いエコドライブ研修会などを通じて普及・推進を図ります。詳しくは、環境省のWEBサイトを参照してください。 |
1日(金)~ 30日(土) |
・フォークリフト等の特定自主検査強調月間──フォークリフトなど荷役運搬機械や建設機械は資格を持つ検査者による年1回の「特定自主検査」が必要、その啓蒙月間です(詳しくは、建設荷役車両安全技術協会のWEBサイトを参照してください)。 |
1日(金)~ 14日(木) |
・「危険物の荷卸し時における相互立会いの推進」全国キャンペーン──石油連盟、全日本トラック協会 タンクトラック・高圧ガス部会などの共催。石油や高圧ガス等の荷卸し時に荷卸・荷受双方の危険物取扱者立会いを行い、事故防止の徹底を求めています。 |
3日(日) |
・文化の日 ──旧「明治節」、戦前は明治天皇の誕生日であることで祝日となっていました。1946年に日本国憲法が公布された日であり、日本国憲法が平和と文化を重視していることから、1948年(昭和23年)文化の日となりました。 |
4日(月) |
・振替休日 |
5日(火) |
・津波防災の日(世界津波の日)──この日は1854年の安政南海地震による津波が和歌山県を襲った際の「稲むらの火」の逸話にちなんでいます。津波が襲ったとき、濱口梧陵(儀兵衛)が取入れの終わった稲わらに火をつけて、村人を安全な場所に誘導したという実話があります。津波の脅威を共有し対策を進めるため、2015年に国連でも制定されました。 |
7日(木) |
・11月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
7日(木) |
・立冬──24節気の一つ。暦の上での冬の始まり。日の光が弱くなり、朝夕など冷え込む日が増えてきます。 |
9日(土) |
・119番の日──消防庁が電話番号「119」に因んで1987(昭和62)年に制定しました。 |
9日(土)~ 15日(金) |
・秋季全国火災予防運動──火災が発生しやすい時季を迎え、119番の日から1週間、全国の消防本部等が火災予防を訴えます。 スローガン「守りたい 未来があるから 火の用心」 |
10日(日) |
・いい点灯の日──「おもいやりライト事務局」が企画する一斉点灯の実施日。11.10(イイ テン トウ)の語呂合わせから。 |
14日(木) | ・世界糖尿病デー ── 国連が2006年採択しました。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、日本には合計で総人口の15%を超える約2,000万人の糖尿病患者および予備群がいると推定されています。血糖値管理を徹底して低血糖症状などによる意識喪失事故を防ぎましょう。 |
16日(土)~ 1月10日(金) |
・第64回「正しい運転・明るい輸送運動」
全日本トラック協会主催──詳しくは、全ト協のWEBサイトを参照してください 。 |
17日(日) |
・世界道路交通被害者の日(毎年11月第3日曜日)
交通事故被害者の救済及び、交通事故予防のための取組みの重要性を啓発するための国際デー。2005年10月26日の国連総会決議で毎年11月の第3日曜日と定められました。詳しくは「世界道路交通被害者の日」世界事務局のWEBサイト を参照して下さい (Victimsを犠牲者と訳す場合もあります)。 ※The World Day of Remembrance for Road Traffic Victims |
21日(木) |
・名神高速道スマホ脇見事故から7年──2017年11月21日滋賀県の名神高速道路上でスマートフォンで運行計画アプリなどを操作して10秒間もわき見し、渋滞に気づかないまま乗用車などに追突し4人が死傷しました。 刑事裁判で裁判長は「通常の過失態様を逸脱する運転」と批判し「一般的な過失運転の量刑では軽すぎる」として、検察の求刑(禁錮2年)を上回る「禁錮2年8月」の実刑判決を言い渡し、注目されました。 |
22日(金) |
・小雪 |
23日(土) |
・勤労感謝の日──第二次世界大戦前は新嘗祭(にいなめさい)の日とされていましたが、戦後のGHQ占領政策によって天皇行事・国事行為から切り離される形で「勤労感謝の日」に改められました。 |
28日(木) |
・東名高速飲酒運転死亡事故から25年──1999年11月28日、東京都世田谷区の東名高速道路東京IC付近で、家族4人が乗った普通乗用車に飲酒運転のトラック(高知県の運送会社)が追突、乗用車が炎上し幼い女児2人が死亡しました。事故の捜査過程でトラック運転者の常習的な飲酒運転が判明し、社会に大きなショックを与え飲酒運転の罰則強化に結びつくとともに、遺族らの粘り強い活動はその後の「危険運転致死傷罪」成立に大きな影響を与えました。 |
11月中旬 |
・2023年9月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
11月下旬 |
・2023年9月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
11月下旬 |
・2024年使用 交通安全年間スローガンの公表 毎日新聞紙上、全日本交通安全協会ホームページなど |
◆11月の日没時刻 (国立天文台 暦計算室による)
1日(金) |
福岡 17:26 |
大阪 17:04 |
東京 16:46 |
札幌 16:27 |
15日(金) |
福岡 17:16 |
大阪 16:53 |
東京 16:34 |
札幌 16:11 |
30日(土) |
福岡 17:10 |
大阪 16:47 |
東京 16:28 |
札幌 16:01 |
11月の日暮れは早い地方では4時台、遅い地域でも5時をすぎればすぐ日没です。周囲はあっと言う間に暗闇に包まれてしまいます。会社に戻る前に薄暮となり、マイカー通勤車両は夜間運転になることを意識して、早めに点灯しましょう。
夜が長くなると歩行者や自転車を見落とす危険が増し、夜間事故が増加します。
また、11月は急激に気温が下がり、朝晩に路面がうっすら凍結することがある月です。ヘッドライト光の反射のし方で凍結に気づくこともありますので、気をつけましょう。
あなたが点灯することで歩行者や自転車などからもあなたのクルマが確認しやすくなります。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light
のサイトを参照してください