自転車は通勤や通学、配達業務など、手軽に利用できる交通手段です。
自動車と比べて環境負荷が小さいことから、自転車の活用を推進している自治体もあります。
しかし、交通事故の総件数が減少傾向にある中、自転車関連事故は横ばいで推移しています。
また、全交通事故における自転車関連事故の割合や、自転車と歩行者の事故は増加傾向にあります。
加えて、交通ルールを守っていない自転車利用者も多くみられ、令和6年の自転車乗用中の死亡・重傷事故のうち、約4分の3は自転車側にも法令違反があります。
このような情勢を受け、警察庁は、自転車も車両の仲間として交通ルールを遵守し、自転車関連事故を抑止するため、16歳以上の運転者による自転車の一定の交通違反に対して交通反則通告制度を導入することを決定しました。
自転車と自動車、自転車と歩行者の事故件数推移
出典:警察庁自転車ポータルサイト
16歳以上の運転者が一定の違反行為をした場合、一定期間内に反則金を納めれば、刑事手続に移行することなく、その反則行為について起訴されないという制度です。
交通違反が交通事故の原因となるような、悪質で危険な違反(例:スピードを出して歩道を通行して歩行者を立ち止まらせた)の場合は検挙を行います。
しかし、「単に歩道を通行している」といったような、その違反が軽微なもの、直ちに事故を起こす危険性が低いものは、いきなり検挙されるのではなく、原則として指導警告が行われます。

※16歳未満の者による違反については、原則として指導警告を行います
体内のアルコール濃度に関わらず、お酒を飲んで自転車を運転することは禁止されています。
アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがあるときは、酒酔い運転として、5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。
また、血中濃度が0.3mg/ml又は呼気中濃度が0.15mg/l以上のときは、酒気帯び運転として、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科されます。
自転車を運転する人に飲酒をすすめたり、飲酒をした人に自転車を提供したりすることも罰則の対象になります。
他の車両の通行を妨害するために、交通の危険を生じさせるおそれのある方法で、急ブレーキや急な割込み、幅寄せ、蛇行運転等をしてはいけません(いわゆる「あおり運転」)。
このような妨害運転には、原則として、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科されます。
自転車を運転するときは、携帯電話等で通話したり、画面を注視することが禁止されています。
携帯電話を使用して事故を起こしたり、歩行者の通行を妨害したりするなどして、実際に交通の危険を生じさせたときは、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されます。
自転車も自動車と同じように、交通事故を起こした場合は負傷者を救護するとともに、警察に報告しなければなりません。
負傷者を救護しなかったときは、救護措置義務違反として1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金が科されるほか、警察に報告しなかった場合は、事故不申告として、3か月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金が科されます。
※携帯電話を手に保持して通話したときや、画面を注視したとき
自転車を運転中、携帯電話を手に持って通話したときや、画面を注視したときは違反対象となり、自転車の反則金の中で最も高い金額が定められています。
自転車で踏切を通過する場合、踏切の遮断機が閉じようとしているときや警報器が鳴っている間は、その踏切に入ってはいけません。
自転車で踏切を通過しようとするときは、踏切の直前(停止線があるときはその直前)で停止し、安全であることを確認しなければいけません。
自転車は、車道を進行するときは「車両用信号」、横断歩道を進行するときは「歩行者用信号」に従わなければなりません。
ただし「歩行者用信号」に「歩行者・自転車専用」の標示がある場合は、車道を通行するときであっても、歩行者用信号に従ってください。
自転車は、原則として、歩道又は路側帯(※)と車道の区別のある道路では、車道を通行しなければなりません。
ただし、以下の場合は歩道も通行できます。
また、自転車は、基本的に道路の左端に寄って通行しなければなりません。自転車の右側通行は、逆走となります。
自転車の歩道通行や逆走は、「通行区分違反」として、反則金の対象となります。
(※)路側帯とは、歩道のない道路にある、道路の端に白線で区画された歩行者が通るための場所を指します。
横断歩道に接近する場合には、明らかに歩行者がいないときを除き、横断歩道の直前で停止できるような速度で進行しなければなりません。
また、横断歩道を横断中又は横断しようとする歩行者がいるときは、横断歩道の手前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないようにしなければなりません。
そのほか、横断歩道やその手前で停止している車両がある場合、その車両の側方を通過してその前方に出ようとするときは、一時停止しなければなりません。
自転車の運転者は、ハンドルやブレーキなどの装置を確実に操作し、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければなりません。
手を放して自転車を運転するような行為や、前輪を上げて走行するような行為(いわゆる「ウイリー走行」)をしてはいけません。
自転車で交差点に進入するときは、交差道路を通行する車両、反対方向から進入してきて右折する車両、道路を横断する歩行者に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行しなければなりません。
一時停止標識等のある交差点では、停止線があるときはその直前で、停止線がなければ交差点の直前で、一時停止しなければなりません。
ブレーキがない自転車や、ブレーキが故障した自転車を運転してはいけません。

普通自転車専用通行帯(左図)が設けられているときは、その普通自転車専用通行帯を通行しなければなりません。
一方、矢羽根型路面表示(右図)は、自転車が通行する部分・方向を知らせるもので、自転車の通行位置について注意を促す役割があります。
必ずしも、矢羽根型路面表示の部分の通行が義務付けられているわけではありませんが、自転車で通行する際の目安にしましょう。
車両と自転車の間に十分な間隔がない状況で、車両が自転車の右側を通過するときは、自転車は、できる限り道路の左端を通行しなければなりません。
傘を差しての運転は、自転車のハンドルやブレーキの操作が難しくなるため、禁止されています。
(※)公安委員会遵守事項違反
イヤホンをつけて周りの音が聞こえない状態での運転は禁止されています。
ただし、イヤホンを片耳のみに装着しているときや、オープンイヤー型イヤホン・骨伝導型イヤホンのように、装着時に耳を完全に塞がないものについては、安全運転に必要な音が聞こえる限りにおいて、違反にはなりません。
(※)公安委員会遵守事項違反
夜間は、ライトをつけなければなりません。
ライトをつけないと、自動車や歩行者など、周囲の状況が把握しづらくなるだけではなく、自動車や歩行者からも自転車の存在を発見しづらくなり、衝突事故などの重大事故につながるおそれがあります。
信号機がなく、左右の見通しがきかない交差点や、道路の曲がり角付近では徐行しなければなりません。
交差道路が優先道路(※)である場合や、通行してきた道路よりも明らかに幅員が広い場合は、交差道路を通行する車両の進行を妨害してはならず、かつ、交差点に進入するときは徐行しなければなりません。
(※)優先道路とは、交差点を突っ切る形で中央線又は車両通行帯が設けられている道路等をいいます。
信号のない交差点に侵入するとき、交差道路が、優先道路ではなく、通行してきた道路よりも広くない場合は、原則、交差道路の左側から進行してくる車両が優先となります。
また、交差点を右折する場合、交差点において直進又は左折しようとする車両があるときは、その車両の進行を妨害してはいけません。
交差点を左折するときは、できる限り道路の左側端に沿って徐行しなければなりません。
また、右折するときは、道路の左側端に寄り、交差点の側端に沿って徐行しなければなりません(二段階右折)。
信号交差点において二段階右折をしなかった場合は、「信号無視」(反則金6,000円)の扱いになります。

自転車は、横に並んで走行してはいけません。
並進は、自動車や歩行者が通行するスペースが狭くなり、他の自動車や歩行者の通行を妨げるおそれがあり危険です。
自転車で歩道通行が可能な場合で、歩道を通行するときは、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければなりません。
また、自転車の進行が歩行者の通行を妨げるときは、一時停止しなければなりません。
自転車で二人乗りをしてはいけません。自転車で二人乗りをすると、ブレーキの効きが悪くなる可能性があるほか、バランスを崩して転倒する可能性もあります。
ただし、16歳以上の保護者が就学前の幼児を幼児用座席に乗せて運転する場合などは、認められています。
14歳以上の者が、以下のような交通違反で、3年以内に2回以上反復して検挙されたり、交通事故を起こしたりしたときは、「自転車運転者講習」の受講対象になります。
自転車運転者講習は、3時間の講習であり、受講料が必要です。
指定期間に受講しなければ、5万円以下の罰金が科されます。
交通事故を起こさないためには、ルールを守って運転することが大切です。
まずは、基本中の基本として「自転車安全利用五則」を遵守しましょう。