■秋から交通事故は急に増加する
今年の上半期は、13年ぶりに交通事故死者数が増加していて、死亡事故の下げ止まり傾向がうかがわれます。
交通事故は例年、下半期に増加する傾向がみられますので、今後はさらに注意が必要です。下のグラフでもわかるように、とくに10月以降に事故死者数が増加し、上半期に比べて月50人から150人近く、死者数が増えています。
日が短くなり、買い物や帰宅などで歩行者・自転車が増える夕方の時間帯が薄暮・夜間となるため、見落としなどが増加するためとみられています。
■夜間の高齢者事故に注意!
薄暮から夜間に交通事故にあうのは、高齢者の歩行者がとくに多いといわれています。
平成21年のデータですが交通事故総合分析センターの分析資料によると、高齢歩行者の死亡事故は夜間が昼間より1.8倍も多く、その過半数(59.3%)は17時台から19時台の3時間内に集中して発生しています。
また、高齢歩行者の夜間死亡事故でもっとも多いパターンは「横断歩道以外の単路を横断中」(32.3%)であり、その場合は約96%が四輪車に衝突されて死亡しています。
歩行者の横断方向は、車の進行方向から見て右側から横断してくるケースが高齢者の場合は70%近くに達しています。64歳以下の歩行者でも右側方向からの横断が57%と過半数を超えていますので、とくに夜間はライト照射の届かない右側方向からの横断歩行者に気をつけるように指導しましょう。
※イタルダ・インフォメーション(№87)より引用しました
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■秋の全国交通安全運動の実施
秋の全国交通安全運動が実施されます。運動の推進要領やポスターなどを配布し、運転者に運動テーマと事故防止のポイントを周知しましょう。
●運動実施期間 2013年9月21日(土)から 30日(月)
●運動の基本 「子どもと高齢者の交通事故防止」
●重点項目
・夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
・全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの
正しい着用の徹底
・飲酒運転の根絶
依然として道路上で子どもが危険にさらされ、また、高齢者が交通事故死者数の約半数を占めその減少が強く求められているため、運動の基本が 「子どもと高齢者の交通事故防止」に定められています。
とくに夕暮時における子どもや高齢者の歩行者・自転車の行動に注意させるとともに、早めの点灯運動を推進しましょう。
■ヘルスチェックの準備を
9月は10月に実施される全国労動衛生週間の準備期間でもあります。
平成25年度のスローガンが「健康管理 進める 広げる 職場から」であることからもわかるように、労働衛生の基本テーマは健康管理です。
厚生労働省は、とくにメンタルヘルス対策、過重労働対策、化学物質による健康障害防止対策、腰痛・熱中症予防対策、受動喫煙防止対策を重視しています。
運転者の健康管理としては、定期健康診断だけではわかりにくい、運転中に意識を失ったり、運転操作に影響のある持病がないかチェックをすすめることが大切です。
個別の健康面談を実施して、日常的にどんな薬を服用しているかといったことも調査しましょう。産業医や保健師の協力を得ることも重要です。
また、血圧の管理が必要な運転者には、手首式の簡易血圧計などを配って出先での血圧チェックをするなど、日常的にきめ細かな健康観察が必要です。最近は、無線機能がついていて手持ちのスマートフォンに測定データを自動送信する血圧計もありますので、帰社後に血圧値を確認することもできます。
■応急救護措置の教育をしよう
9月9日は「救急の日」です。現在は免許取得時に応急救護処置講習が義務づけられていますので、ある程度講習を受けた運転者も多いのですが、いざ交通事故などの現場で救命処置ができるかというとそう簡単ではありません。
この機会に、事業所で講習を実施してみてはいかがでしょうか。
応急救護措置の訓練を通じてドライバーの安全意識が向上するという利点もあります。
消防署や地域の防災協会などが出前講習に応じてくれる場合がありますので、一度相談してみるとよいでしょう。
■異常気象時の運行指示を徹底
9月は台風シーズンです。強風・豪雨時の運行体制をチェックしておきましょう。
豪雨による道路冠水で車が水没したり、強風・高波で車が横転する事故が発生しやすくなりますので、アンダーパス・海岸道路・高架道路などの走行には注意が必要です。
各自治体のインターネットホームページにはハザードマップが掲載され、豪雨時や強風時の災害履歴などがチェックできます。
国土交通省のwebサイトからも見ることができますので、最新の情報を確認しておきましょう。
■重点的な点検整備を実施
9月~10月は自動車点検整備推進運動強化月間です。普段、自動車の点検にあまり労力をかけていない事業所も、この機会に点検・整備の徹底を指導しましょう。
また、大型バスを運行するバス事業者や総重量8トン以上の事業用トラックを50台以上使用する運送事業者は、大型自動車の重点点検を行い、その結果を報告するよう地方運輸局から注意喚起が行なわれます。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
■監査方針・行政処分が強化されます
国土交通省は今年度から自動車運送事業の監査方針、行政処分基準などを大幅に改正して強化する方針です。施行は今秋(早ければ10月以降)とみられています。
法令違反歴や累積点数などを基に優先的に監査を実施する事業所を定めるとともに、軽微な法令違反に対しては車両停止処分を「警告」といった行政指導に留めるなど一部に緩和される部分もありますが、輸送の安全確保に対する処分は非常に厳しくなります。
例えば、「営業所に運行管理者が全く不在(選任なし)」「恒常的に全運転者に対して点呼を未実施」「整備管理者が不在」「全ての事業用自動車の期点検整備未実施」などが確認された場合は、直ちに「30日間の事業停止」という厳しいものです。
運行管理者や整備管理者のいない事業所は少ないでしょうが、点呼や3か月定期点検についてはどうでしょうか。厳しい方針を踏まえて、とくに点呼の実施や点呼記録簿の整備と保存、点検整備記録簿、指導・監督の記録整備などをすすめておくことが重要です。
また、名義貸しや日雇い運転者の選任違反などがないか、全営業所の実態を調査しておきましょう。
■適正化事業実施期間からの速報・連携も強化
なお、トラック運送事業に関しては、適正化事業実施期間(トラック協会)が国土交通省に悪質な事業者を即時報告する仕組みが整備され、連携の枠組みが強化されました(平成25年10月1日から施行)。
適正化実施期間が事業者に対して巡回指導や改善指導を行った結果、悪質性の高い営業所については国に通報され、優先的に監査を受けることになります。
たとえば、「点呼未実施」などとされ指導された事業所や「輸送の安全確保について非常に悪い(E評価)」とされた事業所などが対象となります。また、評価が「悪い(D評価)」事業所でも、3か月以内に改善措置を報告しない場合は監査対象となります。
日 付 | 行 事 等 |
8月30日(金)
~5日(木) |
・防災週間──9月1日の「防災の日」を中心とした防災週間。災害時の避難方法を確認し、ヘルメット・非常用食料など災害用備品がどこにあるか確認し整理しましょう。 |
1日(日) |
・防災の日──関東大震災(1923年)を教訓とし、防災意識を高めるために1960年(昭和35年)に制定されました。 |
1日(日)~ 30日(月) |
・「全国労働衛生週間の準備期間」 (※来月1日~7日に実施される労働衛生週間の実効を上げるため準備を行います。平成25年の労働衛生週間スローガンは、「健康管理 進める 広げる 職場から」。 ※詳しくは、 中災防のホームページを参照してください。 |
1日(日)~
30日(月) |
・「自賠責制度PR期間」──国土交通省などが主唱し、自賠責保険・共済の重要性について積極的にPRします。無保険車を運行しなよう注意しましょう。 |
1日(日)~ 30日(月) |
・健康増進普及月間──生活習慣病を予防し、健康保持と増進を図るため、厚生労働省が制定しました。最近運転者の健康問題から派生する事故が多発していますので、健康診断結果に基づく面談・保健指導なども実施しましょう。 |
1日(日)~ 10月31日 |
・自動車点検整備推進運動強化月間 ──9月~10月の2か月間は、国土交通省が点検・整備の重要性を呼びかけています。 |
3日(火) |
・睡眠の日──「グ(9)ッスリー(3)」眠るからの語呂合わせです。十分な睡眠と休養が安全運転確保の基本です。 |
9日(月) |
・救急の日(救急医療週間は8日~14日) |
10日(火) |
・9月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
16日(月) |
・敬老の日(祝日) |
16日(月) |
・日本交通医学工学研究会・学術総会──医療関係者、事故防止研究者、自動車工学研究者などが交通災害の実態を把握し、事故の減少・被害軽減などの研究活動を発表する。 今年のテーマは「自動車事故リスク 安全対策と保険制度」
会場は 名城大学・天白キャンパス。 |
17日(火)~
10月15日 |
・運行管理の高度化に対する支援事業の申請受付──○デジタル式運行記録計○映像記録型ドライブレコーダーなどを導入する自動車運送事業者に国土交通省の支援事業が行われます。詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照。 |
19日(木) |
・中秋の名月──旧暦8月15日 |
20日(金) |
・バスの日── 1903年(明治36年)のこの日、京都市で日本で初めてバス会社が本格的な乗合自動車の営業を開始したことに由来します。日本バス協会が「バスフェスタ」を開催します。 |
21日(土) |
・国際平和デー(International Day of Peace)──通称ピースデー。1981年国連決議による。 |
21日(土)~
30日(月) |
・秋の全国交通安全運動──運動の推進要綱については内閣府のWEBサイトを参照してください。 |
23日(月) |
・秋分の日(彼岸中日) |
30日(月) |
・交通事故死ゼロを目指す日 |
30日(月) |
・クレーンの日──クレーン協会等がクレーン等の安全規則を公布したことを記念し制定しました。 ※クレーン協会の平成25年度『クレーンの日』スローガンは「作業前にしっかり点検 確かな操作でクレーン安全」 詳しくは、同協会のホームページを参照して下さい。 ※また、ボイラ・クレーン安全協会も独自標語を制定 「目で確認 声で確認 確かな操作」 詳しくは、同安全協会のホームページを参照して下さい。 |
……………… |
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9月中旬 |
・平成25年8月末における交通事故発生状況公表(警察庁) |
9月下旬 |
・平成25年8月末の労働災害速報(陸上貨物運送事業労働災害防止協会) |
◆9月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(日) | 福岡 18:44 | 大阪 18:25 | 東京 18:09 |
15日(日) |
福岡 18:25 |
大阪 18:05 | 東京 17:49 |
30日(月) | 福岡 18:05 | 大阪 17:44 | 東京 17:27 |
秋の日はつるべ落とし。日没時間はどんどん
早まりすぐ暗くなります。早めの点灯を心がけましょう!
早めの点灯運動については「おもいやりライト」のWEBサイトも
参照してください。こちらのサイトでは、日没30分前の時間を目安に、
日本各地の9エリアに分けて点灯時間を呼びかけています。
★「おもいやりライト」=早めの点灯=
運動に取り組みましょう!
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください