新しい年を迎えます。
全社の無事故・無違反の継続と労働災害防止、運転者の健康を祈願しましょう。とくに事業用自動車では、1年前のスキーバス事故の教訓を忘れずに、今一度、輸送の安全確保について誓ってください。
会社が今年1年の安全運転確保の決意を新たにするとともに、運転者それぞれにも無事故・無違反の誓いをたててもらう必要があります。
なお、1月は雪道や凍結路でのスリップ事故が多発する時期です。初めての冬を迎える若手社員や派遣社員などに対しては、とくに念入りな指導を行ってください。
無事故・無違反を誓おう
新年には、今年1年の無事故・無違反を誓い、具体的な安全運転の目標を立てましょう。
自分自身が守る安全運転目標は、具体的なテーマを設定することが重要です。
混んでいても、抜け道に入らずに、国道など、幹線道路を走行します
など、自分の運転習慣などを考えて、目標を立てましょう。
とくに、平成28年中に事故や違反の経験がある人は、自分自身の戒めとするため、安全運転宣言カードなどをダッシュボードに貼ったりすると効果的です。
交通安全スローガンなども参考にしよう
良い安全運転目標が思い浮かばないという方は、今年1年間(平成29年)全国で使用するために全日本交通安全協会が公表している「全国交通安全年間スローガン」なども参考にしてください。
全国からドライバーや一般の大人・子どもが応募し、約7万点から選抜されたもので、ドライバーなどが守るべき基本行動を上手なキーワードでまとめていますので、覚えやすく参考になります。
こうしたスローガンの中から気にいったもの選び、車などに貼ってもよいでしょう。
●平成29年使用の交通安全スローガン
(運転者を対象にしたものの入選作)
事故の実態を踏まえた安全計画を立てよう
■交通事故の実態を分析する
新年に新しい安全運転管理計画や事故防止目標計画を立てる際には、2016年中に発生した交通事故や違反の実態をつかみ、その分析を踏まえて再発防止目標を立てましょう。
事故データの分析から事業所の運転者が犯しやすいミスや運行経路の特徴(経路上の問題点)、3H要素の有無確認(初めて、久振り、変更)、交通事故に結びついた違反の実態などを客観的に見る必要があります。
たとえば、業務中の出会い頭事故が多い事業所では、運転経験年数、交差点の形状、衝突前の携帯電話使用の有無など、細かく情報分析することで、教育対象とすべき運転者層や具体的な教育内容などが見えてきます。
■交通事故分析ソフトを活用しよう
企業の交通事故実態分析をする上で便利なソフト(エクセルベース)を無料でダウンロードできるサイトがあります(平成28年12月に「修正版」が公表され、より使いやすくなっています)。
詳しくは、こちらの →安全運転管理支援サイト「交通事故分析ツール」を参照してください。
■一般の事故分析情報も参考に
自社の事故件数が少ないという事業所は、警察や交通事故総合分析センターなどの公表する交通事故統計も参考にして、事故防止計画を練りましょう。
たとえば、下は岐阜県警察本部が公表している携帯電話使用中の交通事故の原因分析ですが、参考になるデータが詰まっています。
こうした実態を踏まえて、次のような事故防止対策が立てられます。
●追突事故惹起者の原因分析時には携帯電話の
使用履歴を必ず聞いておく
●着信音が鳴るだけで事故に結びつく危険を周知
し、運転中はドライブモードの設定とカバンの中などへの保管を義務づける
●20代の運転者に対しては、2か月に1回など継続的に携帯電話の運転中使用禁止を指導する
●マイカー通勤運転者に対しても、運転中の携帯電話使用について指導する
十分な睡眠をとろう
■睡眠時間が短い人は、生活習慣病の
リスクが高くなる
皆さん、最近よく眠れていますか? 快適な眠りは健康管理の基本です。
睡眠不足は免疫力を低下させて風邪・インフルエンザなどに罹りやすくなるだけでなく、長期的に病気のリスクを高めると言われています。
厚生労働省の調査によると、慢性的な寝不足状態にある人は糖尿病や心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病に罹りやすいことが明らかになっています。無理をしないで、よく眠ることで活力を生み出しましょう。
■1~2時間の睡眠不足でも
事故の危険が2倍に
睡眠不足は運転にとっても百害あって一利なしです。
全米自動車協会(AAA)交通安全財団が2016年12月に発表した調査分析結果によると、睡眠時間が不足したドライバーの交通事故の発生確率が顕著に上昇することが明らかになりました。
分析の対象としたのは、午前6時~深夜0時の時間帯に発生した交通事故4,571件の原因調査記録で、改めて睡眠時間の観点から精査しました(2005年~2007年に発生した事故/米高速道路交通安全局まとめ)。
事故前の24時間にドライバーがどれだけ睡眠を取っていたかによって分類すると、適切な睡眠時間とされている7時間超に比べ、4時間未満の睡眠では事故発生率は11.5倍に跳ね上がり、4~5時間で4.3倍、5~6時間眠っていても1.9倍に増えることがわかり、十分な睡眠をとることが安全運転の確保にいかに重要であるかが証明されました。
※出典:Missing 1-2 Hours of Sleep Doubles Crash Risk "Acute Sleep Deprivation and Risk of Motor
Vehicle Crash Involvement", Brian C. Tefft, December 2016, AAA Foundation.org
年始の無災害運動を展開しよう
■構内での災害防止チェック
年始には、構内事故や作業時の労働災害防止のため、年末に引き続き「無災害活動」を実施しましょう。
以下のポイントを再度チェックし、休み明けのボンヤリ・うっかり事故を防止してください。
① 安全靴、ヘルメット、服装の確認
② 荷役機械、フォークリフト類の使用前点検
③ 作業スペースの整理、整頓、清掃、清潔、躾の
5Sを実践
④ 構内安全ルールの再確認
⑤ 路面やステップの凍結によるスリップ転倒事故を警戒
⑥ 防寒具、カイロの使用、休憩場所の暖房温度管理
プロ事業者に求められる「安全」の意味を再認識しよう
■重大事故を契機に事業者への規制が強化
平成28年も大きな事業用自動車の事故が発生しましたが、とくに
・1月15日発生の 軽井沢貸切バス転落事故
(15人死亡)
・3月17日発生の 山陽道「八本松トンネル」
追突事故(2人死亡)
は、自動車運送事業者のコンプライアンス違反が目立つ事故で国土交通省が重視する事態となりました。
このため、とくに貸切バス関連では道路運送法の改正や、監査・処分基準の強化など大きな法令の改正が続きました。
トラック関係でも準中型免許新設に伴い指導・監督の指針が改正され、2017年3月から施行されますが、運転者指導の未実施などに対する処分の運用も厳しくなると予測されています。
上記の2つの事故を忘れてしまっては、「安全対策」も絵に描いたモチに終わります。
こうしたコンプライアンス違反に基づく事故を「他山の石」として重視し、運転者への点呼の徹底や、指針に基づく指導・監督の実践に努めることが大切です。
そのため、輸送等に関する安全総点検を徹底するだけでなく、年初には「指導・監督の指針」の11項目(バス・タクシー)、12項目(トラック)に沿った具体的な教育計画を立てて臨みましょう。
日 付 | 行 事 等 |
1日(日) |
・元日 |
2日(月) |
・初荷/振替休日 |
4日(水) |
・官庁仕事始め |
5日(木) |
・小寒 |
7日(土) |
・七草 |
9日(月) |
・成人の日 (第2月曜日) |
10日(火) |
・110番の日──毎年1月10日は「110番の日」。110番は市民生活の安全に関する相談窓口です。緊急以外の相談は「♯9110番」を利用するなど、相談時の正しい通報については、警察庁のWEBサイトも参照してください。 |
~10日(火) |
・第56回「正しい運転・明るい輸送運動」(前年11月から) 全日本トラック協会主催──詳しくは、全ト協のWEBサイトを参照してください 。 |
~10日(火) |
・年末年始の輸送等に関する安全総点検(前年12月10日から) ──国土交通省は毎年、輸送機関に対して自主点検等を通じた安全性の向上を呼びかけています。 (※詳しくは、同省のWEBサイトを参照してください) |
10日(火) |
・1月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について、情報提供・注意喚起を行っています。 |
14日(土) |
・大学入試センター試験──~15日(日) |
~15日(日) |
・年末年始無災害運動 ──(前年12月15日から)中央労働災害防止協会 が主唱する運動、今回で46回目を迎えます。今年の共通標語は、 「無事故で締めよう 行く年を 無事故を誓おう 来る年に」 (※詳しくは、中災防のWEBサイトを参照してください) |
~15日(日) |
・年末年始港湾無災害強調期間 ──(前年12月16日から)──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による年末年始の事故防止活動。 |
15日(日) |
・軽井沢スキーバス転落事故より1年──2016年の同日午前2時、長野県軽井沢町において41名を乗せた大型スキーバスが路外に転落、乗客・乗員計15人が死亡し、25人が重軽傷を負いました。この事故を契機に貸切バスへの安全対策が強化され、多くの法令が改正されました。 |
15日(日)~ 21日(土) |
・防災とボランティア週間──1995年に発生した「阪神・淡路大震災」を踏まえ、平成8年より設けられました。 |
16日(土) |
・大学入試センター試験(~17日) |
16日(土) |
・改正道路運送法、貨物自動車運送事業法の施行──「疾病による事故防止の条項」がそれぞれ追加されました。 |
17日(火) |
・防災とボランティアの日──当日発生した阪神・淡路大震災を契機として災害時におけるボランティア活動および自主的な防災活動への認識を深める目的で制定されました。 |
19日(木)~
20日(金) |
・第56回 交通安全国民運動中央大会 (東京) 19日は分科集会(ホテルグランドヒル市ヶ谷)
20日が本大会(日比谷公会堂)。 |
20日(金) |
・大寒 |
24日(火) |
・法律扶助の日 ──1952年(昭和27年)のこの日、法律扶助協会が設立されたこと記念して制定。同協会は2006年に改組され「日本司法支援センター(法テラス)」となり、経済援助を含めた法的支援を行う中心的な機関として活動しています |
25日(水) |
・日本最低気温の日──1902年(明治35年)、北海道の旭川地方気象台で-41.0℃という日本の最低気温を記録したことによる。上空の強い寒気の通過と放射冷却現象によるものと考えられています。 |
26日(木) |
・パーキングメーターの日──1959年(昭和34年)に東京都が日比谷と丸の内に日本初のパーキングメーターを設置したことによります。料金は15分単位で10円でした。当時は割高感があり、あまり利用されませんでした。 |
28日(土) |
・犀川スキーバス転落事故より32年──1985年の同日、長野市の国道19号で、スキー合宿の学生らを乗せた貸切バスが犀川に転落し、乗務員2人を含む25人が死亡しました。背景には運転手の過密勤務による過労状態があり、112日車の使用停止命令など厳しい行政処分が処せられましたが、過労運転の刑事起訴は不起訴処分となりました(本年で33回忌)。 |
~31日(火) |
・年末年始 労働災害防止強調運動/陸上貨物運送事業労働災害防止協会(前年12月1日から) スローガン「危険箇所 みんなで共有 話し合い すぐに改善 安全職場」 荷役作業の安全対策ガイドラインを踏まえて、労災事故防止をはかる運動です。 |
1月上旬 | ・平成28年中の死亡事故速報(警察庁) |
1月下旬~2月 | ・平成28年中の交通死亡事故発生状況(警察庁) |
1月下旬 |
・平成28年12月末労働災害速報(陸上貨物運送事業労働災害防止協会) |
◆1月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(日) | 福岡 17:21 | 大阪 16:58 | 東京 16:39 |
15日(日) |
福岡 17:33 | 大阪 17:10 | 東京 16:51 |
31日(火) | 福岡 17:49 |
大阪 17:26 |
東京 17:07 |
早めに点灯する配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください