バス運転者に対する「指導及び監督の指針」を改正

■10項目から11項目に指導項目が増加し、実技指導も強化

 国土交通省は貸切バス安全対策の一環として、運輸規則の改正にひき続き、平成28年11月17日に「旅客自動車運送事業運転者への指導・監督の指針」を改正し、指導体制を強化しました(12月1日施行)。

 

 新たな指針は、指導監督の項目を従来の10項目から11項目に増やし、貸切バスの初任運転者について安全運転実技指導(20時間)を義務化するなど、運転者教育の強化を図っています。

 

 

■貸切の初任運転者指導等に「実技指導20時間」を義務づけ

 新たに11番めとして追加された項目は、「安全性の向上を図るための装置を備える貸切バスの適切な運転方法」です。

 新型車両には、被害軽減ブレーキや追突事故防止装置、車間距離制御装置などの装備が進んでいますが、運転者にその機能を十分に理解させ、活用を促すことが目的です。

 

 事故惹起運転者、初任運転者、準初任運転者(※)への特別な指導・監督について、貸切バス運転者に限っては「実技指導20時間」が新たに義務づけられます

 (乗合バス運転者に対しては、従来通り実技指導は努力義務となっています)

 

■ドライブレコーダーの映像記録による指導を新設

 また、貸切バスに対しては、ドライブレコーダーの映像記録等による指導・監督などについても義務づけられますが、経過措置が設けられ平成29年12月1日に施行となっています。

 

 さらに、平成28年12月の段階では初任運転者指導等は実技指導以外の座学の時間が6時間となっていますが、ドライブレコーダーの導入に伴い、貸切バスでは平成29年12月以降は10時間に延長されます。

 

「旅客自動車運送事業者が運転者に対して行う指導及び監督の指針」改正概要
  項 目 改 正 によ る 追 加 内 容

事業用自動車を運転する場合の

心構え

(改正なし)

事業用自動車の運行の安全及び

旅客の安全を確保するために

遵守すべき基本的事項

貸切バスの運転者にあっては運行指示書の遵守を含む

事業用自動車の構造上の特性

(改正なし)

乗車中の旅客の安全を確保する

ために留意すべき事項

シートベルトの着用を徹底させる

旅客が乗降するときの安全を確

保するために留意すべき事項

(改正なし)

主として運行する路線若しくは

経路又は営業区域における道路

及び交通の状況

(改正なし)

危険の予測及び回避

貸切バスの運転者にあっては、緊急時における制動装置の急な操作に係る技能の維持のため、当該運転者が実際に運転する事業用自動車と同一の車種区分(※)の自動車を停止状態で用いて、制動装置の急な操作の方法について指導する。

※大型車(長さ9m以上,定員51人以上の車両)、中型車(大型車、及び小型車(長さ7m以下であり、かつ、乗車定員30人以下の車両をいう)以外の車両をいう)及び小型車の別をいう)

運転者の運転適性に応じた安全

運転

(改正なし)

交通事故に関わる運転者の生理

的及び心理的要因及びこれらへ

の対処方法

(改正なし)

健康管理の重要性

(改正なし)

安全性の向上を図るための装置

を備える貸切バスの適切な

運転方法 【新設】

安全性の向上を図るための装置を備える貸切バスを運転

する場合の適切な運転方法を理解させる。

【追加事項】上記内容について運転者に対する指導・監督を毎年実施し記録を3年間保存する

■「特定の運転者に対する特別な指導の内容及び指導時間」の改正ポイント

指導項目 追加された内容 時 間

事故惹起運転者に対する特別な指導の内容及び時間

・貸切バスの運転者では、「運行指示書の遵守」を徹底。

・《交通事故を防止するために留意すべき事項》を《運行の安全及び旅客の安全を確保するために留意すべき事項》に改め、その中に「シートベルトの装着を徹底させること」を追加

・《危険の予測及び回避》で、貸切バスの運転者にあっては、「運転者が実際に運転するバスと同一の車種区分の車を停止状態で用いて、制動装置の急な操作の方法について指導する」を追加

・《安全運転の実技》で、「運行する可能性のある経路(高速道路、坂道、市街地等)で、道路、交通及び旅客の状況並びに時間帯を踏まえ、運転者が実際に運転するバスと同一の車種区分の車を運転させ、安全な運転方法を添乗等(貸切バスの運転者にあっては添乗)により指導する」を追加

・貸切バス以外の運転者に対しては、従来通り。合計6時間以上、実技指導については可能なかぎり実施することが望ましい。

 

・貸切バスの運転者に対しては、座学については合計6時間以上、実技指導については、20時間以上実施すること。【新設】

初任運転者に対する特別な指導の内容及び時間

・《日常点検の方法》で「貸切バスの運転者にあっては、運転者が実際に運転するバスと同一の車種区分の車を用いて指導する」を追加。

・《安全性の向上を図るための装置を備える貸切バスを運転する場合の適切な運転方法》を追加

 

・他の項目は、事故惹起運転者に準ずる

・貸切バス以外の運転者に対しては、従来通り

 

・貸切バスの運転者に対しては、座学については合計6時間以上、

実技指導については、20時間以上実施すること。【新設】

準初任運転者(※)

に対する特別な指導の内容及び時間

・初任運転者に対する教育内容のうち、少なくとも《危険の予測と回避》(制動装置の急な操作に関する内容に限る)及び実技指導について実施すること。

・貸切バス以外の運転者は該当なし

 

・貸切バス運転者=実技指導については20時間以上、その他については初任運転者に対して実施する時間と同程度以上の時間とする。

【新設】

※準初任運転者(貸切バス)=初任運転者以外の者で、直近1年間に運転の経験(実技の指導を受けた経験を含む)のある貸切バスより大型の車種区分の貸切バスに乗務しようとする運転者。

 例)過去1年はマイクロ貸切バスに乗務 → 中型バス、大型バスに乗務

 例)過去1年は中型貸切バスに乗務 →  大型バスに乗務 など

●施行日と経過措置

 *公布 : 平成28年11月17日

 *施行 : 平成28年12月1日 (ドライブレコーダーによる指導・監督の施行=平成29年12月1日)

 

■バス事業者のための点呼ツールを発売

 指導用テキスト「バス事業者のための点呼ツール」は、点呼の実施方法から実際に点呼をする際に役立つ「安全指導場面」を30場面収録した、バス事業者様のための点呼用教材です。

 

 言葉だけでは伝わりにくい安全運転のポイントや注意事項も、イラストがあればより具体的に危険や安全運転ポイントをイメージすることができます。

 

 また、近年改正された道路運送法や、運輸規則等の改正もわかりやすく解説しています。

 

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