「安管選任義務違反」等の罰則を強化──道路交通法改正

■5万円以下の罰金が「50万円以下」と10倍に──2022年10月1日施行

●八街市飲酒運転事故が契機に

 皆さんは、2021年千葉県八街市で発生した飲酒運転のトラックによる児童死傷事故をご記憶のことと思います。

 

 事故を起こした運転者は飲酒運転の常習者であることが判明し、事業用トラック・バスなど青ナンバー事業所では実施されているアルコール検知を自家用自動車の事業所でも義務づけるきっかけとなりました。

 

 また、この事故で運転者が勤務していた会社が、道路交通法に基づく安全運転管理者を選任していなかったことも判明し、会社と同社代表取締役の男性が道交法違反の罪で起訴され、それぞれに罰金5万円の略式命令が出されています(法人両罰)。

 この問題を政府は重視し、道路交通法の一部が改正され、今年10月1日からは、安全運転管理者の未選任事業所等への罰則が大幅に強化されることになります。

*安全運転管理者の選任義務がある対象事業所については、こちらを参照してください。

■安全運転管理者制度の周知徹底を求める声が高まる

 八街市の事故は、日中の通学路で子どもたちが悲惨な飲酒運転の犠牲になったこと、安全運転管理者が未選任であったこと等が連日マスコミで報道されて社会問題となりました。

 新型コロナウイルス感染症の再拡大やオリンピック開催問題で批判の矢面に立っていた政府は、これを重視して異例の迅速な対応を行いました。

 

 2021年8月4日に内閣府は閣僚会議で「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」を決定しています。

  • 自動車を一定数以上保有する使用者の義務を周知する
  • 安全運転管理者等の未選任事業所の一掃を図る
  • 乗車前後におけるアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認の促進等安全運転管理者業務の内容の充実を図る

 この決定を踏まえて、道路交通法施行規則の一部が改正され、安全運転管理者の行う業務として酒気帯び有無の確認と記録の保持、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認等が追加されることになりました(道路交通法施行規則、第9条の10の改正/2021年11月10日公布)。

■安全運転管理者未選任の事業所に対する罰則を強化

 さらに2022年4月27日、道路交通法の一部が改正されて公布され、安全運転管理者等選任義務違反(副管理者の選任義務違反も同様)、安全運転管理者の解任命令違反の罰則が、現行の「5万円以下の罰金」から「50万円以下の罰金」へと強化されることになりました(施行日は2022年10月1日)。 

 

 また、安全運転管理者が業務を行うための必要な権限や機材が付与されていないため安全運転が確保されていないと認められる場合は、自動車の使用者に対して、是正のための必要な措置命令を出すという規定が新設されました。

 

 この是正措置命令に対して違反した場合についても、50万円以下の罰金が科せられることになりました(※ここで新たに「必要な機材整備」が道路交通法に規定されていますので、使用者がアルコール検知器などを整備せず、是正命令にも違反する場合は罰則が適用されることになります)。

 安全運転管理者とは名ばかりで実際に管理業務が実行できていない環境の企業に対して、厳しい指導と取締りをする意図がみられます。

 

 このほか、安全運転管理者等の選任や解任を行った場合、自動車の使用者は公安委員会へ15日以内に届け出る義務がありますが、届出を怠った自動車の使用者に対する罰則も「2万円以下の罰金または科料」から「5万円以下の罰金」に引き上げられます。

 

 なお、警察庁から都道府県警察に対し、安全運転管理者未選任事業所を効果的に把握する施策として、以下のポイントが通達で指示されています。

  • 自動車保管場所証明情報の活用して、未選任事業所を把握し、選任に向けた指導を徹底する
  • 自動車保管場所証明申請受理時の質問等を通じて、未選任事業所を把握する
  • 都道府県警察本部のWEBサイト上で安全運転管理者の選任状況を公開する
  • 業務中の飲酒運転等を検挙した場合には、その背後責任について徹底した捜査を行い、安全運転管理者の選任の有無やその業務の実施状況について確認を行う

道路交通法施行規則の公布により施行日が決まりましたので、2022年9月14日に一部更新しました)

(道路交通法第74条の3 第1項、第4項、第5項、第6項、第8項関係/令和4年4月27日改正公布)

【道路交通法/参照条文──下線部分が2022年4月27日改正、10月1日施行の内容】

 道路交通法 第74条の3(安全運転管理者等)

  1.  自動車の使用者は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、次項の業務を行う者として、安全運転管理者を選任しなければならない。
  2. 安全運転管理者は、自動車の安全な運転を確保するために必要な当該使用者の業務に従事する運転者に対して行う交通安全教育その他自動車の安全な運転に必要な業務で内閣府令で定めるものを行わなければならない。
  3. 前項の交通安全教育は、第108条の28第1項の交通安全教育指針に従つて行わなければならない。
  4. 自動車の使用者は、安全運転管理者の業務を補助させるため、内閣府令で定める台数以上の自動車を使用する本拠ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、内閣府令で定めるところにより、副安全運転管理者を選任しなければならない。
  5. 自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から15日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
  6. 公安委員会は、安全運転管理者等が第1項若しくは第4項の内閣府令で定める要件を備えないこととなつたとき、又は安全運転管理者が第2項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、自動車の使用者に対し、当該安全運転管理者等の解任を命ずることができる。
  7. 自動車の使用者は、安全運転管理者に対し、第二項の業務を行うため必要な権限を与えるとともに、同項の業務を行うため必要な機材を整備しなければならない。
  8. 公安委員会は、自動車の使用者が前項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、自動車の使用者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。(新設)
  9. 自動車の使用者は、公安委員会からその選任に係る安全運転管理者等について第108条の2第1項第1号に掲げる講習を行う旨の通知を受けたときは、当該安全運転管理者等に当該講習を受けさせなければならない。
  • 罰則──第1項、第4項、第6項及び第8項については第119条の2、第123条(法人両罰)、第5項については第120条第2項第3号、第123条)

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