大雪時の運行対策を立てていますか

■立ち往生などに巻き込まれる危険を意識しよう

豪雪時の立ち往生の危険

 

 昨年12月17日から20日、また今年1月24日から25日にかけて、記録的な大雪のため、日本各地で大規模な道路の通行止めや国道・高速道路における立ち往生が発生しました。

 

 新名神道路下り線では16時間以上、車が完全に止まってしまうという事態に陥り、多くの車両が巻き込まれました。

 

 他の道路でも各地で雪による渋滞が発生して、追突して運転者が死亡する事故に結びついたり、スリップして対向車と正面衝突する事故も多発しました。

 

 気象庁と国土交通省は異例の緊急大雪予報を発表して警戒を呼びかけましたが、多くの車が巻き込まれたました。想定外の大雪ではありましたが、運転者の判断や事業所の運行管理に問題がなかったとは言えません。

 

 気象庁気象研究所の研究によると、地球温暖化の影響により将来的には降雪量全体の減少が予想される反面、気候バランスが崩れることで局所的にドカ雪が増えるおそれがあるとされています。

 今後も、このような局地的大雪災害が発生することを予測して、管理指導を行うことが求められています。

■異常気象時の運行判断を再確認

異常気象時における措置の目安

■大雪警報・注意報を軽視しない

 

 台風や豪雨の場合と同様、国土交通省が2020年に公表した「異常気象時の運行判断の目安」を参考にして、大雪警報で運行を取りやめたトラック運送事業者もあったと言われます。

 しかし一方で、発着荷主との関係から、運行をやめられなかった事業者も多かったことがTVニュースで報道されていました。

 

 一般の事業所でも、得意先の要望に応じて車を出さざるを得なかったケースが少なくないようです。

 

 今回のような大雪予報が出た場合は、通行止めはもちろん、全車両チェーン規制が実施される経路が予想されます。チェーン規制の場合はスタッドレスタイヤの車両であっても、雪の中でチェーンを装着する必要があり、運転者にとって大きな負担となります。

 

 大雪警報や注意報が出て警戒を促されるような状況下では、気象情報を軽視しないで早めに運行停止の判断をする必要があります。誰がどの時点で判断するのか、あらかじめ社内で話し合っておきましょう。

 普段は全く積雪のない地方に本社を置く某トラック運送会社では、チェーンが必要と判断される段階で運行停止を決める社内規定があるということです。最近の運転者はスタッドレスタイヤに慣れていて路上でのチェーン装着経験がなく、冬道走行のプロでもないので、チェーンは最初から車に搭載しないことを取引先に宣言したそうです。

大雪による立ち往生
写真はイメージです。記事とは直接関係ありません。

■迂回路も安全とはいえない

 国土交通省や高速道路会社は数年前から多発する大雪時の立ち往生を防ぐため、予防的な通行止めと迂回路の案内を適宜実施する対策をとってきました。

 さる1月24日も名阪国道で予防的通行止めを実施しましたが、迂回路になった新名神道路に多くの車が流れ込んだことが、大渋滞や立ち往生発生要因の一つとなっています。

 

 大雪で自粛を呼びかけても、通常時と比べて自動車の利用台数に大きな変化が見られないため、雪道で通行ができなくなってしまう事態が続いています。

 

 通行止めなどの情報が入った場合、管理者としては事業所の車に迂回路を指示することになるでしょうが、今回の立ち往生事例などを反省材料として「迂回路も止まる」事態を予測し、早めに運行停止を判断することが賢明かもしれません。

 

■運転者の安全確保を最優先しよう

  無理をして10時間以上も高速道路上で立ち往生するとかえって損害が大きく、雪の中で追突事故にあったり、運転者の健康被害を招く危険があることを認識する必要があります。

 

 とくに高速道路では、一般道路のようにコンビニエンスストアで買い物をしたり、付近住民の助けを借りるといった手段がないので、運転者の苦労が大きくなります。

 何とかサービスエリアに入って水や食料を確保した車も、本線に戻る緩い上り坂が除雪されていなかったために、そこでスタックして立ち往生し、たくさんの車両が本線に戻れなかったケースがあると報道されていました。

■荷主や得意先を説得する努力が必要

荷主による不要不急の運行指示

■無理を承知で運行を指示する荷主

 に対して

 

 宅配便など不特定多数の一般顧客に対しては、輸送の引受けを停止したり、預かりのみで配送日を保証しないなどの意思表示が可能ですが、特定の発着荷主や関係の深い得意先企業の場合は、そう簡単ではないでしょう。

 

 独断で運行を停止すると今後の発注にも影響しかねません。しかし、無理な運行をするのは、百害あって一利なしですから、大雪警報などが予想される場合は運送経路や運送時間の変更等を認めるよう、または運行を停止するように「ご協力お願い」を文書やメールで通知しておきましょう。

 

 荷主が協力要請に応じないために無理な運行を余儀なくされたとしても、雪道でスタックしたり立ち往生した場合に、荷主に責任があることは文書で証明できます。

 

 トラック貨物運送事業者などでスタック事故が発生したときは運輸局による監査の端緒になり、事業者の講じた措置が不十分と判断されると行政処分の対象となることもありますので、あらかじめその旨を訴えて運行停止の意思表示をするという自衛の姿勢が重要です。 

 もちろん、運行管理者が冬用タイヤの残り溝点検やチェーン携行確認など、必要な措置をしておくことが前提となりますが、雪道の運行指示に荷主が関与していることを強く訴えましょう。

【参考】国土交通省自動車局の通達「雪道立ち往生の発生を抑止するために」より(2022.11.29)

大雪時の立ち往生発生抑止対策

■経路案内ソフトの安易な使用にも注意させる

経路設計アプリの落とし穴

■雪の中で抜け道を案内されたら要注意

 また、運行中に雪のため道路が停滞し始めると、何とか「幹線道路の渋滞を避けて目的地にたどり着いておきたい」と運転者が考えて、カーナビやスマートフォンの経路案内ソフトなどを使って、別ルートの経路を探ることがあります。

 

 普通の天候であれば、事故渋滞などを避けて別ルートで早く行けることもありますが、予想外の大雪などが降ったとき、狭い抜け道に入るのは非常に危険です。

 

 交通量の多い幹線道路は、融雪装置のおかげで雪が溶けていたり、多くの車両がつくる轍で何とかノロノロ運転ができます。

 しかし、除雪していない脇道に入ると、冬用タイヤの車でもいきなりスタックしてしまう危険があります。川沿いの道路や農道の抜け道では地吹雪が発生し視界ゼロの危険があり、アップダウンのある細街路では坂の途中で登れなくなることがあります。

 また、雪で隠れた道路脇の側溝に脱輪して動けなくなったり、雪山の陰にいた地元の歩行者と人身事故を起こした事故例がみられます。

 さらに、道路が渋滞しているのでJAFなどの救援車も来られずに、雪の降る脇道で脱輪したまま一晩中動けなかったという事例がニュースで紹介されていました。

 

 雪道に慣れているはずの北海道の運転者でも、幹線道路から抜け道に入った車のスリップ事故が多発しているという報道があり、経路案内ソフトなどの使用も一因と思われます。

 雪の中で管理者に相談なく独断で経路を変更したり、安易に抜け道に入らないよう運転者に対して指導しておきましょう。

こんな事故が起こっています

■大雪による渋滞車列にトラックが追突、運転者死亡

大雪による名神トラック追突事故

 さる1月26日午前3時40分頃、滋賀県米原市の名神高速下り線で、大型トラック3台が絡む玉突き事故が発生しました。

 この事故で最後尾のトラックの男性運転者(60代)が搬送先の病院で死亡が確認されました。また、追突されたトラックの男性運転者1人も軽傷を負っています。  

 現場の路面は凍結していなかったということですが、大雪のため渋滞が発生していました。

 

 また、さる1月25日午後2時40分頃には、滋賀県甲賀市の新名神高速道路下り線で、中型トラックが大型トラックに追突、弾みで別の大型トラックも巻き込まれました。

 中型トラックの運転者(31歳)が死亡し、追突された大型トラック運転者が軽傷を負いました。  現場付近は除雪作業後で路面凍結はありませんでしたが、現場近くで雪による立ち往生が起こるなど断続的に渋滞が発生していました。

【参考】国土交通省報道資料「大雪に対する国土交通省緊急発表より(2022.12.21)

2022年12月17日新潟県大雪による立ち往生
2022年12月17日新潟県大雪による立ち往生

【参考】国土交通省・道路管理者関連の雪道情報サイト

■参考ページ(外部サイト)

 この記事は以下のサイト掲載記事や掲載資料を参照しました。


■当サイト・参考記事 

■小冊子:「運転中・自然災害時の対応は万全ですか?」のご紹介

 近年は、地球温暖化などによる異常気象の影響で、豪雨や強風・突風、猛暑、豪雪などによる災害が頻発しています。

 

 また我が国は地震大国でもありますので、南海トラフ地震など大地震がいつ発生してもおかしくはありません。しかしながら、日々自然災害への対応意識を高めておけば、被害を最小限に留めることができます。

 

 本書は、運転中に自然災害に見舞われた以下の6つの運転場面を提示しており、それぞれの危険要因と対処方法を考えていただく教育教材です。

 

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