「危険運転致死傷罪」数値基準化へー自動車運転処罰法・道路交通法の一部改正

■危険運転致死傷罪及び酒酔い運転に数値基準を導入

●法令改正の背景

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 令和8年3月31日、自動車運転処罰法と道路交通法の改正案が閣議決定され、4月17日には参議院本会議で可決されました。

 

 現在衆議院にて審議中(令和8年5月時点)であり、今国会での成立が見込まれています。

 

 危険運転致死傷罪については、現行法では判断基準が曖昧な部分があり、判断が分かれるケースがあることが問題視されていました。

 

 そこで、危険運転致死傷罪及び酒酔い運転について明確な数値基準を設けることで、対象となる行為を明確化することとなりました。

 

 今回の改正は、危険で悪質な運転について、より厳正・的確で実態に即した処罰を可能にすることが目的です。

●危険運転致死傷罪に関わる法令改正

・自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)

自動車運転処罰法,危険運転致死傷罪,アルコール,高速度での走行,ドリフト走行

(※)ドリフト走行・・・殊更にタイヤを滑らせ又は浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて自動車を走行させる行為

・道路交通法

危険運転致死傷罪,酒酔い運転

 アルコール濃度や超過速度については、「正常な運転が困難な状態」「制御することが困難な速度」といった表現だけでなく、明確な数値基準が設けられることになりました。

 

 また、ドリフト走行については、新たに危険運転の対象行為として明記されることになります。

・危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の罰則

危険運転致死傷罪,過失運転致死傷罪,罰則の違い

●現行法により危険運転致死傷罪か過失運転致死傷罪か争われている事例

・高速度による死亡事故

 2021年大分県内の県道で、法定速度の60km/hを大幅に超える194km/hで走行していた車両が、右折してきた車両と衝突し、右折車両の運転手が死亡しました。

 

 一審では、制御困難な速度だったとして危険運転を認めましたが、二審では、危険運転は認められず過失運転致死罪が適用されました。「自車線を逸脱させる事態が直ちに生じるとは想定し難く、制御困難な高速度だとはいえない」と判断されたためです。

 

 この判決について、福岡高検は最高裁判所に上告しています(令和8年5月時点)。

・飲酒運転による死亡事故

 2024年群馬県内の国道で、トラックが乗用車と衝突し、乗用車に乗車していた3名が死亡しました。一審で、トラックの運転手はアルコールの影響により正常な運転が困難だったとして危険運転致死罪が認められました。

 

 判決によると、トラックの運転手の血中アルコール濃度は少なくとも1・4mg/mLであったとみられていますが、運転手は飲酒を否認しており、事故は過失によるものだとして控訴しています(令和8年5月時点)。

●数値の明確化に関わらず、常に安全運転を

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 昨日まで元気だった家族が、大切な人が、交通事故で突然いなくなってしまった。もう二度と会えなくなってしまった。残された遺族の悲しみは計り知れません。

 

 また、危険運転致死傷罪の適用を巡って裁判になれば、何年もかけて、悲しみや憤り、苦しみを抱えたまま戦い続けねばなりません。

 

 危険運転致死傷罪に数値基準が導入されることで、そのような辛い時間が少しでも短くなることが期待されます。

 

 もちろん、危険運転致死傷罪が適用されたからといって、遺族の気持ちが晴れるとは言えません。大切な人や大切な時間は、もう戻ってはこないのです。

 

 時間が戻らないのは加害者側も同じです。ひとたび重大な事故を起こしてしまうと、被害者だけではなく、加害者の人生や家族、会社など様々な人々に甚大な影響を与えることになります。

 

 

 数値基準の明確化に関わらず、

 

 ・飲んだら乗らない、飲むなら乗らない

 ・法定速度に関わらず安全に走行できる速度

 

で走行することを徹底し、交通ルールを遵守し、悲惨な事故を防止しましょう。

 

 誰もが被害者にも加害者にもならないよう、交通事故で苦しむ方が一人でも減るよう、今回の法改正で、安全運転に対する社会全体の意識が高まることを期待します。

 

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