令和8年6月19日(金)、姫路市市民大会・大ホールにて、第27回自動車教習所セミナーが開催されました。
これは、日本交通心理学会・第91回姫路大会の大会前イベントとして企画されたものです。
今回は、その中から神姫バス株式会社バス事業部安全推進課の河島和也氏による「大型バスの特性-AT車普及に伴う新たな教育制度の構築に向けて」について紹介します。
現在、オートマ車(以下AT車)のバスは、滑らかな加速が特徴の「トルクコンバータ式」と、マニュアルの構造をベースに、クラッチ・ミッションを自動化した「AMT式」の2種が主流となっており、神姫バスでも半数近くがAT車だそうです。
一見、楽で快適に思われるATにも、予期せぬシフトダウンによる衝撃が生じるなど、ミッション車(以下MT車)にはありえなかった不安が隠されていました。

そこで同社は、新人層(入社1~3年目)と指導層を対象に、7つの質問に基づくアンケート調査を実施。主な質問と回答は、以下のとおりです。
・安全確認の余裕
新人層の半数近くが、MT操作がない分「余裕が持てる」とする一方、指導層は、自家用車感覚による「漫然とした確認(油断)」を危惧
・身体的疲労について
新人層、指導層ともに、半数以上がAT車は疲労が少ないと回答。その一方、精神的な疲労が増えるといった回答も
・制動、停止の難しさ
新人層の約半数がスムーズに停止することが難しいと回答
・車内事故への不安
とくに指導層の半数以上が強い不安を抱いており、「運転士の技術ではなく、機械の予期せぬ自動変速により、乗客を負傷させるかもしれない」というプロとしての危機感が浮き彫りに

・事故統計データとの合致
車両100台あたりの車内人身事故発生率を比較すると、MT車よりもAT車のほうがリスクがあることが判明。
発進時に乗客が転倒する事故もAT車の割合が高いことが明らかに。
こうしたことを受け、同社では、次のような教育制度の構築に取り組みます。
・操作の余力を予見運転に
オートマ化で生まれた時間的・精神的余裕を、死角への意識や挙動予測に充てさせる
・研修センターにAT車を配置
現場に出る前の安全な環境で、坂道後退や変速ショックを先行体験させ、パニックを防ぐ
・手動操作(マニュアルモード)の標準化
Dレンジ任せにせず、坂道でのギア固定などを基本操作として標準化し、機械に振り回されない技術を育成する
・日時 令和8年6月19日(金)
・会場 姫路市市民会館
・主催 日本交通心理学会
・共催 日本交通心理士会
・後援 (一社)全日本指定自動車教習所協会連合会/(一社)兵庫県指定自動車教習所協会
・プログラム
発表1
・大型バスの特性ーAT車普及に伴う新たな教育制度の構築に向けてー
河島和也(神姫バス株式会社 バス事業部安全推進課)
・手さぐりから始まった外国人運転士教育ー6ヶ月間の指導と直面した課題
船曳晃司(神姫バス株式会社 バス事業部安全教育課)
発表2
・特別支援が必要な方への教習ーMランド益田校の取り組みなどー
森下高博(株式会社コガワ計画 Mランド益田校)
発表3
・“連携”ということばを考えるー作業療法士と教習指導員の立場からー
高間達也(七尾自動車学校)
・医療機関における自動車運転評価 中伊豆リハビリテーションセンターでの取り組み
那須識徳(社会福祉法人農協共済中伊豆リハビリテーションセンター)