自動車運送事業者に対する監査方針・行政処分基準の強化

自動車運送事業者への監査・処分方針

 国土交通省では、2013年9月にバス・トラック・タクシーなど自動車運送事業者に対する監査方針・行政処分等の基準について定めた関連通達を改正しました。

2013年9月17日報道資料

 

 悪質な事業所を対象に迅速な監査を実行するとともに、新たに30日の事業停止処分を設けるなど、行政処分の基準を大幅に強化しましたが、一方で軽微な違反では処分が軽くなるなどの改正も行われます。

 また、監査から処分までに要する期間の短縮化が図られ、軽微な違反だけの場合はその場で警告書を交付するようになりました。

 

 監査方針の改正  →  平成25年(2013年)10月1日施行

 処分基準の改正  →  平成25年(2013年)11月1日施行

              (30日の事業停止処分は平成26年1月適用)

 

  (続報)

 2016年11月、国土交通省は軽井沢バス転落事故を踏まえた安全対策として、貸切バスを中心とした監査方針の大改正を実施しました。(平成28年11月18日報道資料

 

 貸切バスの監査方針の改正  →  平成28年(2016年)12月1日施行

 

■監査方針の見直し①──悪質な事業者に対する集中的な監査を実施

 2013年10月1日より、同省では法令違反の疑いのある事業者に対して優先的に監査を実施することで監査の効果・効率を上げる方針です。

 具体的には適正化機関や公安委員会・労働基準監督署などからの通報も参考にして、違反事業者リストを整備します。

 

 事業者リストは各地の運輸局でデーターベースを共有し、事業許可取消処分を受けた事業者の役員名なども管理し、別会社で新たに役員に就任した場合などは、別会社に処分歴がない場合も重点監査の対象となります。リストに乗った役員が新たに運送事業会社を起こした場合も重点的に監査が行われます。
 許可取消処分を受ける前に事業を廃業してしまえば、新たに運送事業会社を設立するのは法的には可能ですが、リストを基にすぐ監査を受けるという仕組みになります。

■監査方針の見直し②──街頭監査を新設(バス事業者が中心)

 2013年10月1日より、バス発着場などで、運転者に勤務実態を直接聞き取り調査するなど、街頭監査が導入されます。

 写真は、平成25年7月に公開で実施された、国土交通省による高速バスの一斉安全点検を伝えるニュース報道。

 監査は臨時点検とは異なりますが、今後はこのような乗務員などに対する現場での調査が、継続的に実施されると考えられます。

■処分基準の改正①──30日間の事業停止処分を新設など

 悪質・重大な法令違反が確認された場合の処分を厳格化し、事業停止30日間の処分を新設しました。この処分のみ適用は平成26年1月1日からです。

 このほか、事業停止後も引き続き法令違反の改善がない場合は、事業許可取消とする他、記録類の改ざん、交替運転者の配置違反、日雇い運転者の選任等では、処分量定の引き上げを図ることが決まっています。

■処分基準の改正②──軽微な法令違反の対象を拡大し、文書警告に留める

 一方で11月1日より、乗務記録の記載不備や、台帳の記載内容の不備など軽微な違反では、10日車などの処分を行わずに警告(行政指導)で済ませる改正も行われます。

 さらに、重大事故による一律的な再違反の適用も廃止されますので、安全優先の経営を行っている事業者が車両の使用停止等の行政処分を受けるケースは少なくなると見込まれます。

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