■緊急時の安全対応、睡眠不足の危険など
国土交通省では、緊急時の安全確保義務違反や居眠運転などによる事故が発生している状況を踏まえ、このたび旅客自動車運送事業者が運転者に対して行う「指導及び監督の指針」を改正する方針です。
事故や車両故障、災害発生時など緊急事態における的確な対応や「睡眠不足」「薬の副作用」等の危険に関する運転者教育を徹底するため、指導体制の強化を図ります。
■施行時期について
旅客自動車全体の項目 | 改 正 に よ る 追 加 内 容 | |
① |
事業用自動車を運転する場合の 心構え |
・事故の統計などを説明して社会的影響を理解させる |
② |
事業用自動車の運行の安全及び 旅客の安全を確保するために 遵守すべき基本的事項 |
・日常点検不備による事故や、交通事故による事業者・運転者への処分、加害者や被害者への心理的影響の大きさ、法律遵守の重要性などを理解させる |
③ | 事業用自動車の構造上の特性 |
・制動性能などが車両によって異なることを理解させる |
④ |
乗車中の旅客の安全を確保する ために留意すべき事項 |
(改正なし) |
⑤ |
旅客が乗降するときの安全を確 保するために留意すべき事項 |
(改正なし) |
⑥ |
主として運行する路線若しくは 経路又は営業区域における道路 及び交通の状況 |
(改正なし) |
⑦ |
危険の予測及び回避 |
・強風、豪雪等の悪天候が運転に与える影響への理解。 ・事故発生時、災害発生時その他緊急時における対応方法を理解させる |
⑧ |
運転者の運転適性に応じた安全 運転 |
・(適性診断)その他の方法により運転者の特性を把握する |
⑨ |
交通事故に関わる運転者の生理 的及び心理的要因及びこれらへ の対処方法 |
・睡眠不足、医薬品等の服用に伴い誘発される眠気が事故を引き起こす恐れがあることを理解させる ・改善基準告示に基づく勤務時間、乗務時間を理解させる |
⑩ |
健康管理の重要性 |
・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等にも基づいて心身の健康管理を行うことの重要性を理解させる |
⑪ |
安全性の向上を図るための装置 を備える事業者自動車の適切な 運転方法 |
・安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車を運転する場合の適切な運転方法を理解させる(貸切バスのみが対象となっていた項目を全旅客自動車対象に戻す) |
貸切バス対象の項目 |
改 正 に よ る 追 加 内 容 |
|
1 | ドライブレコーダーの記録を利用した運転者の運転特性に応じた安全運転 | (改正なし) |
2 | ドライブレコーダーの記録を活用したヒヤリ・ハット体験等の自社内での共有 | (改正なし) |
上記内容について運転者に対する指導・監督を毎年実施し記録を3年間保存する
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言葉だけでは伝わりにくい安全運転のポイントや注意事項も、イラストがあればより具体的に危険や安全運転ポイントをイメージすることができます。
また、近年改正された道路運送法や旅客自動車運送事業運輸規則等の改正ポイントもわかりやすく解説しています。